【ドル円・日本株】イラン戦争はいつ終わる?終戦時期を3シナリオで分析|原油・日本株・投資判断への影響
今年の2月に勃発したイラン戦争だが、まだ続いている。
報道によるとトランプ政権が示す終戦時期は後ずれしている。トランプ大統領は9月9日、戦争は11月の中間選挙直後に終わるとの見通しを示した。
イランは政権の存亡を賭けた戦いと見做しており、収拾がつかない状況である。
筆者は開戦当初、早期終戦を予想していたが現在は長期化は避けられないと予想する。
今回は米国とイランの継戦能力を分析し、イラン戦争の継続性と投資判断を考えていきたい。
早期終戦の予想は外れる
筆者はその軍事的圧倒的戦力差、直前に集結した米国によるベネズエラ攻撃の結果、イランの経済状況と政治体制から早期終戦を予想していた。
この予想は見事に外れてしまった。振り返ると、結果として当時保有していた沖縄電力株の損切りが遅くなったと考えている。
イランは予想以上に耐久性があり、ベネズエラと異なり個人による独裁制ではなく、独裁的な政治組織による強固な体制を築いていた。経済的にも耐久性があった。国民はある程度圧政や経済制裁に慣れており、持続力があるのである。この辺りはロシアと類似性がある。
米国は攻撃力はあるものの迎撃ミサイル等の弾薬に限りがあり、その生産能力に問題があった。
米国はイランの降伏に近い譲歩を得る必要があるが、イランは米国が諦めてくれれば良く、そこのギャップの大きさも浮き彫りになっている。そもそも降伏に近い譲歩はイランの現体制にとって崩壊を意味するので、存亡を賭けた戦いになっており、直ぐの終戦は難しそうである。
米国とイランの軍事的経済的継戦能力
米国とイランの継戦能力を考えてみる。
米国の弾薬切れが報道されているが、軍事的には米国とイランの双方はまだまだ戦える状況である。
まず、米国だが確かに報道にあるようにパトリオット、THAAD等の精密兵器の弾薬は枯渇しつつあり、米国の迎撃能力にも制約がある。ロイターは、米国が2026年2月から7月までに保有していたパトリオット迎撃ミサイルの約65%を使用したとする機密推計を報道した。
一方で、米国には、精密兵器以外の通常兵器は大量に備蓄されており、イランへの攻撃力という意味ではかなり残存している。あくまで、「攻撃面」では、当面の作戦継続に十分な余力がある。
問題になるのはイランからの非対称戦であり、反撃に対する迎撃能力やホルムズ海峡や紅海への圧迫による原油高及びインフレ圧力と、それに伴う中間選挙への影響力等の政治的な圧力だろう。
また、イラン側も軍事的に苦しい状況だが、地下施設での弾道ミサイル生産再開報道が出ていたり、ドローン生産を続けていたり、米軍に勝利することは出来ないが、米国を継続的に苦しめることは可能な状況である。
重要なのは経済面である。
ベッセント財務長官はイランへの強力な経済制裁を発表した。
あまり意味を成さない言説もあるが、イランの急所は軍事ではなく経済なのは確かである。
あくまで現在の米軍によるホルムズ海峡封鎖が続いた場合だが、中央日報は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルと船舶追跡会社Kplerの推計を基に、すでに引き渡されたイラン産原油の代金収入が2026年12月中旬ごろに途絶える可能性があると報じている。
イランの年間インフレ率は68%に達しており、このまま経済的圧力が続いた場合は、イラン経済について来年1〜3月頃に何らかの臨界点が発生する可能性はあるだろう。
終戦時期の3つのシナリオ
以下の確率は、公開情報を基にした筆者の主観的な推計であり、将来の結果を保証するものではない。
①早期終戦(11月迄に)シナリオ
可能性としては限りなく低い(10%程度)。今まで幾度となく交渉や条件提示が行われてきたが、最終的には妥結されなかった。もし早期に妥結されれば驚きである。
結局のところ、米国とイランの双方或いは片方が政治的・経済的・軍事的にこれ以上戦えない状況にならないと交渉妥結は困難だろう。有り得るとしたら、上述の経済状況が筆者が思った以上に深刻で、イラン側が気にしている場合である。
②イラン経済限界終戦(来年1〜3月ごろ)シナリオ
可能性としては低い(30%程度)が、上述のイランの経済状況を考慮したシナリオである。この場合、米国は中間選挙というイベントを終えており政治的な制約が低くなっている状況である。中間選挙前は終戦に大きな意味があるが、選挙後では米国側の妥協する意味が薄くなる。トランプ政権がレームダック化している可能性もあるが、むしろトランプ大統領がレガシー作りの為や弾劾を回避する為に強行姿勢に転じる可能性はあるだろう。
③長期持続シナリオ
メインシナリオである(60%程度)。どちらかが倒れるまで続く可能性である。
ターニングポイントは2年後の米国大統領選挙、イランの経済的限界である。
筆者は今回のイラン戦争の推移を見ていて、予測することの難しさを感じる。そもそも予想することは困難である。
重要なのは、イラン戦争が続いたとしても、早期終戦したとしても問題のない投資戦略を立てることである。
保有銘柄の投資判断
イラン戦争は為替や資源価格に大きな影響を与えている。
しかし、いずれ終戦する可能性が高い。特に中間選挙とイラン経済の臨界点はターニングポイントになりやすい。
米国の資源各社、シェールオイル各社は増産について非常に慎重である。これらの企業がイラン戦争がそこまで長期化しないと考えているのか、原油需要の減少が継続すると考えているのかは不明だが、少なくとも現在の状況をかなり冷静に見ているようである。
双日、住友化学、日本製鉄への収益的な影響度は様々だが、保有判断を変更するほどのものではない。3社への影響経路はそれぞれ異なる。双日は資源価格、日本製鉄はエネルギーコストと世界景気、住友化学はナフサ価格や石油化学製品の市況を通じて影響を受ける可能性がある。住友化学は、一部事業では市況改善の恩恵が期待できる一方、原料高や世界需要の減速は逆風になり得る。ただし現時点では、イラン戦争だけを理由に3社の保有判断を変更するほどの影響ではないと考える。
しかし、特に住友化学は影響を受けやすいので、今後もこの戦争の推移に注視していきたい。
