経済金融

いつ円高になるのか、その時期と可能性の探索

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2021年7月、1ドル110円程度だったドル円相場が、わずか3年後の2024年7月は158円前後と急激な円安に進み、その水準自体歴史的である。

個人投資家としてこの円安が永続的なものか否か、一時的なものとしていつまで続くのか、検討して銘柄選択に役立てたい。

結論、現在の円安はドル円においてそう長く続くことはないと予想する。

現在の円安は永続的なのか】

ドル円が上昇し始めたのは2021年だが、急激な上昇を始めたのはFRBが利上げを開始した2022年3月からである。そこからFRBは猛烈な勢いで利上げを続け、2023年8月で打ち止めとなった。日米金利差の拡大と同時にドル円の上昇も続いた。

ほとんど日米金利差と、両国の利上げ、利下げの見通しによってドル円相場は動いてきた。現に昨年12月にFRB理事が利下げに言及すると、急激にドル円は下落し、年明け以降に米国の経済指標の堅調さが続くと一転して円安が進んだ。そう考えると、現在の円安は永続的なものでは無く、日米両国の金利差は政策金利によって決まると言えるのではないだろうか。

日銀とFRBの金利政策の見通しを考える必要がある。

日銀についてはほとんど利上げ余地が無いように見える。日本経済の体力を考えて、米国並みの5%台への利上げはまず不可能だろう。実質金利はマイナスのままだが、日本のCPIは利上げをほぼしていないにも関わらず2023年2月をピークに穏やかに横ばい又は下洛傾向にある。利上げの必要性があまりなく、せいぜい1〜2回と予想する。

日銀の利上げについては別記事も参照されたい。日本はFRBの利下げ待ちである。

ではFRBはどうか。FRBについては最近の経済指標を確認すると利下げが近づいていると考えるのが自然だ。FRBは役割は「雇用の最大化」と「物価の安定」である。なので、物価統計と雇用統計の2つが特に重要である。今までは好調な雇用統計を背景にして物価の安定の為に利上げを実施し高金利を維持してきた。

物価統計だが、2022年7月をピークに下落を続け、その後横ばいだが直近ではCPIは3.0とついに2%台目前になった。コアCPIは一貫して下落傾向である。

雇用統計だが、直近の失業率が4.1%と前回に続いて4.0%台を超え、既にコロナ禍前の水準と完全雇用の失業率3%台を超えてきている。2023年5月を底に上昇傾向である。過去の失業率を確認すると、上昇する時は下落する時よりも急激である。

8月と9月の雇用統計次第では市場参加者の予想通り9月に利下げが開始されるのではないか。もし失業率の急激な悪化が見られた場合は、利下げ回数の予想も多くなるだろう。

【マネタリーベースで考えると異常な円安】

ドル円は日米両国のマネタリーベース比(いわゆるソロスチャート)に影響される。端的に言えば通貨供給量が多い方が通貨安になるというわけだ。

実は日米マネタリーベース比は第4次安倍政権が終了した2020年以降ほぼ横ばいであり、マネタリーベースで考えると異常な円安と言える。

やはり現在の円安は日米金利差による投機の影響が大きいと考えるのが自然であるし、もし日米金利差の縮小が本格的に意識されるようになれば、一気に円高に振れる可能性も否定できない。

【円高の時期と銘柄選択を考える】

あくまで米国の経済指標次第だが、8月の雇用統計がこのまま賃金が鈍化し失業率が悪化するようであれば、本格的に日米金利差縮小が市場に意識されるようになるだろう。

前述の通り、米国の失業率は1年以上前に底打ちしており4%を超えている。いつ上昇が加速してもおかしくない。また、FRBの利下げと日銀の利上げは9月を予想する報道が出てきている。そう考えると秋〜年末にかけて現在の円安が終了している可能性は高い。

仮に円高傾向になった場合、今まで恩恵を受けてきた輸出企業や海外売り上げ比率の大きい企業には逆風である。一方で円高メリット株や内需株、小売業には恩恵があるだろう。

次回以降は銘柄選択についても考えてみたい。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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