【原油安・円高メリット】スカイマーク3Q決算を受けて
2月10日スカイマークの3Q決算が発表となった。以前より注目しており、当ブログでも決算や決算予想を考察してた銘柄なので、今回も3Q決算内容を振り返り所感を残しておきたい。
端的に言えば、下方修正を伴った、株主にとって予想を上回る極めて厳しい決算内容であった。今後投資を続けるか、新規で買い入れるか迷うところだと思うので、その辺りも考えていきたい。
【3Q決算内容について】
スカイマークの3Q決算は以下の通りである。
- 事業収益:817億円
- 営業利益:16.95億円
- 経常利益:20.38億円
- 純利益:26.63億円
- 営業利益(3Q単独):−6.29億円
詳しくは決算短信と決算補足説明資料を確認されたい。
事業収益以外は全て前期を大幅に下回っている。ただし、過去の記事を参照してもらえれば分かるが、ドル円の状況や世界的なインフレを考えればある程度予想できた内容ではある。
個人的に問題だと思った点は以下の2点である。
- 営業利益が3Q単独でマイナスになっている。
- 単価が前期比とほぼ同様で、全く値上げが出来ていない。
単価値上げについてはANAとJALも国内線は同様に出来ておらず、国内線の単価は現在の水準が限界の可能性がある。大手2社とスカイマークの単価はまだ開きがあるが、これはブランドやサービス面での開きの結果であり、このギャップを直ぐに埋めるのは機材や人員の面で難しいだろう。
営業赤字になったことはより深刻である。現在の為替水準や物価では本業で利益が出ないことになる。このままだと、4Qも同様の傾向になる可能性が高く、来期1Qはよりひどい結果になることだろう。短期的には厳しい業績とそれを反映した株価が続くのではないか。
中長期的な業績向上には、単価の値上げと円高が必須である。為替環境についてはスカイマークではどうしようもない事項である。為替については、米国が利下げを停止する中で日銀が追加利上げの構えを見せており、米国で追加利上げの可能性が出てこない限り、穏やかな円高に進む可能性が高いと考える。
単価は大手2社が値上げ出来ていない中で、経営陣はスカイマークとして値上げを実現する具体的な戦略を株主に示すべきだろう。国内線のみで業績を上げることが難しければ、国際線参入等、現状を打破する具体的な収益向上策を株主に示すべきである。
【まとめ 〜短期的には厳しい株価推移が予想される〜】
スカイマークの3Q決算内容は株主にとって大変厳しいものであった。下方修正になった他、経営陣から今後の戦略が示されていない。下方修正の内容から、4Qも営業赤字が続く見通しである。PTSは決算発表後8%を超えて下落しており、市場は厳しい反応を示している。
下方修正後の会社予想今期EPSは25.4である。PER10倍でも株価は理論上254円となる。流石にそこまで下落することは考えにくいが、来期以降の業績回復が望めない場合は下落トレンドが続く可能性が高まる。
中長期的には以下の点が重要になってくる。
- 国際線への参入計画
- 顧客単価の上昇(航空運賃はスカイマークに関わらず既に頭打ちの感がある。)
- 来期以降の重整備費用(会社側の今までの説明だと、今期まで重整備が続いているとのこと。つまり、来期以降はそれなりの金額の営業費用を削減できるはずである)
- 原油価格の動向
- 円高トレンドへの転換(米国の経済金融政策に大きな影響を受ける)
ドル円と原油市況に関しては、当初の会社予想はドル円145円、ドバイ原油1バレル80ドルであった。この水準で概ねEPSが71になるため、業績と株価の向上には当初予想以上の市況が必要だろう。
中長期的な目線では、仮に円高トレンドになる兆候が得られれば、今回の下方修正以上に業績が悪化することは考えにくく、市場が3Q決算と業績見通しから株価が下落するのであれば、そこを底値付近と捉えて投資する判断になってもおかしくは無いだろう。(非常に勇気の要る判断ではある)
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