【原油安・円高メリット】スカイマーク3Q決算の個人的予想について
今月下旬から多くの企業の決算シーズンに入る。以前より注目しているスカイマークも来月に3Q決算が発表予定である。
今回も前回同様、原油、ドル円、旅客の各種市況から、スカイマークの個人的な業績予想をしてみたい。2Q決算時は営業利益はほぼ予想通りだったが、予想外の為替差損が発生していた。
今回はまず営業利益を予想し、その上で為替差損益についても考慮してみる。
【営業利益について】
スカイマークの営業収益はほぼ航空事業収入だが、付帯事業収入もわずかに存在する。概ね6億円〜8億円で推移している。2Qは7.9億円だったので、若干少なめの7億円で見積もる。
続いて航空事業収入であるが、こちらは
- 航空事業収入=単価✖️有償旅客数(人)
で計算できる。(有償旅客数は毎月IRで公表されている)
3Qの有償旅客数は2,045,809人(前年比101.1%)である。
続いて、単価についてだが、こちらは上半期ほとんど上乗せが出来ていないことを考慮し、昨年と同様の12,618円とする。
計算すると、事業収入は約265億円となる。
次に営業費用を考えていく。
営業費用は燃油費、機材等のリース料、整備費用、人件費、空港使用料、等である。
これらの多くは為替や原油価格に左右される。円高かつ原油安だと営業費用を抑えることができる。
為替について、3Qのドル円は2Q比で2%上昇している。また、ドバイ原油(円換算)は4.5%下落している。これを各費用に当てはめ、さらに各費用のベースを2Qを元に計算すると、営業費用は約261億円である。
結論、営業利益は0〜1億円程度と予想される。あくまでも個人的な予想であることに留意されたい。
これは全く運賃値上げが出来ていない場合の予想である。仮に前年4Q並の単価を実現出来た場合は、約10億円の営業利益である。(それでも前年3Qを10億円程度下回ることには注意が必要。)
【為替差損益】
2Q時点で為替差損22億円を計上しているが、これは3ヶ月で約18円分円高になった為である。3Q終了時点でドル円は157円であった。
為替変動を比で単純計算してみると、3Q末では一転して18億円の為替差益が生じる計算となる。
【まとめ】
筆者は3Q累計で営業利益23〜33億円、当期利益13〜23億円と予想する。
捉え方は人によるだろうが、中々に厳しい数字である。
やはり、会社前提のドル円145円を大幅に上回る状況が続いていることが原因だろう。今後のドル円については、別途記事にて考察していきたいが、米国経済と日本経済の動向に注意が必要である。営利企業である以上、景気と経済に業績が左右されるのは当然だが、為替に大きな影響を受ける点で航空株は難易度がやや高めである。(各国中央銀行の金融政策が過渡期の昨今は特にである。)
仮に上記の数字で着地した場合、決算後の市場の反応は正直読めないところがある。今までだと失望感から一気に売られていたが、そろそろ底打ち感がある。双日による株式取得や日銀追加利上げによる穏やかな円高への織り込み等、底打ちを支援する材料が出てきている。
当期利益には為替差益が含まれるので、4Q末時点で再び円高になると当期利益は減少することになる。
既に搭乗率や乗客数は頭打ちの感があるため、重要なのは単価である。その為、先行して発表があるANAとJAL大手2社の決算内容に要注目である。
※2月5日追記
ANAとJALの3Q決算が相次いで発表された。
肝心の国内旅客の単価(3Q単独)は両社共に、前年とほぼ同様か僅かに減少であった。単価については上半期の傾向がそのまま続いていると言えるだろう。
スカイマークも同様の傾向と考えられ、上半期同様、ほぼ昨年比で単価が上昇していない可能性が高い。
今以上に国内旅客単価が上昇するには、日本の可処分所得が上昇し、競合する鉄道等の値上げが必要である。航空会社は交通インフラの一つである為、現状を大きく上回る付加価値の創出も難しい。ANAとJALの決算内容からは、その様な状況が感じ取れる。(ただし、厳しいばかりではなく、インバウンドの影響か、両社共に座席利用率は向上していた。全体的に需給がタイトになっているのであれば、予想外に単価上昇の可能性も捨てきれない。)
4Q(通期)まで見越した場合は、予想がやや複雑になる。経営陣の説明によると、昨年度と今年度に重整備が集中しているためである。その為、今期の下半期は整備費用の積み増しが抑えられるはずで、通期で考えれば思いの外悪くない業績で着地する可能性もある。
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