経済金融

【ドル円・日本株】イラン戦争・和平合意への可能性高まる、日銀利上げと住宅ローンへの影響

yuta8068@gmail.com

今週は非常に重要なトピックスが2つあった。一つはイラン戦争の和平合意の可能性が高まっていること、もう一つは日銀の利上げ観測である。

それぞれ影響を考えていく。

【イラン戦争の和平合意とその影響】

もし米国とイランが和平合意に署名して、ホルムズ海峡が開放された場合は中東に原油を依存している日本やアジア各国にとっては朗報である。特に東南アジア各国の中には原油調達が滞り、意図的に経済活動を縮小している国も存在していた。

原油とLNGのほぼ全てを輸入に頼る日本にとっては、原材料安によってインフレ圧力が減ることになる。

  • ・通貨
    アジア各国通貨は開戦後に通貨安になっていた。ドル円も160円台で推移している。
    和平合意が実現した場合はやや円高に傾く可能性が高いだろう。
  • ・物価
    イラン戦争は原油、LNG、原油由来生成物の価格に上昇圧力をもたらしていた。これらは当然、商品価格に反映されていた。また、原油不足に起因する経済活動縮小も解消されることになる。つまり、製品生産などの供給が拡大することになる。コストプッシュ型のインフレ圧力は減少していくことだろう。ただし、経済活動や個人消費の拡大は見込まれるので、穏やかなインフレ圧力は継続するのではないか。
  • ・企業業績、株価
    内需、外需ともに堅調さが戻るのではないか。イラン戦争によって、見通しの不透明感が高まっていたいた為、業績見通しが明確になることは株価にプラスである。
    日経平均とTOPIXの乖離が縮小するのか、注視する必要があるだろう。
  • ホルムズ海峡の開放は日本にとって大きなプラスである。和平合意の推移を期待して見守る状況である。

【日銀の利上げ観測高まる、住宅ローンへの影響が懸念される】

日銀が6月の政策決定会合で利上げするとの報道が出ている。日銀OBを中心に、日本の中立金利は1.5〜2.0%とする発言も見られる。

仮にイラン戦争が終戦に向かってもホルムズ海峡の扱いが不透明なことや、そもそも日本のCPIは今年の1月以降前年比2%を割っていることを考慮すると、このタイミングで利上げする正当性について甚だ疑問である。

欧米と日本の状況を確認してみると、日銀の政策が時期尚早だと分かる。

・日本
CPIは1月以降2%割れが続く。特に直近の5月は1.4%と低下傾向である。国際的な基準の2%に大きな距離がある状況。一方で、有効求人倍率は2023年1月をピークに下落傾向であり、直近でも2025年4月の1.26を下回っている状況である。実質賃金は2026年に入りプラスの状況が続いており、この状況が定着するのか重要な局面にある。

・米国
CPIは直近の5月では4.2%まで上昇し、今年に入り上昇傾向である。雇用統計も堅調である。市場は利上げを織り込みつつあるが、年内に追加利上げが1回あるかどうかである。

・欧州
欧州最大の経済大国ドイツのCPIは直近の5月で2.8%と今年の1月以降上昇傾向である。ECBは今月11日に2023年9月以来の利上げを決定した。ただし、イラン戦争前は利下げ観測が優勢だったことは重要である。

日本は長年苦しんだデフレ脱却の重要局面である。直近のCPIは1.4%なので、本当に利上げが必要なのだろうか。

特に深刻な影響が出そうなのが住宅ローンである。日本は8割がより低金利の変動金利で住宅ローンを組んでおり、最近はなんと35年以上の超長期ローンを組む事例も出ている。住宅価格が上昇し、借入金額が増大していることが原因である。金利上昇局面(インフレ局面)では確かに預金の金利収入が上昇したり、金融資産の上昇や賃金上昇の恩恵があるが、住宅ローンは数千万円単位の借入なので、金利上昇に対するプラスの恩恵を得られる層は限られるのではないか。

その上、金利が上昇すると住宅の需要は減じる(そもそもローンを組める層が減ってくる)ので、住宅価格は通常下落する。住宅市場では実需が8割程度を占めており、特に実需層が購入する価格帯の物件は下落しやすくなるだろう。住宅購入層は金利上昇と物件価格下落の二重の影響を受けることになる。

日本と同じく変動金利比率が高いスウェーデンでは、利上げが続いた後に住宅ローンの負担が重くなり、住宅価格の下落や個人消費の低迷につながっている。

住宅金融支援機構の調査だと全体の60%程度が返済負担率20%未満である。その為、金利上昇によって直ちに住宅ローン破綻が増えるとは考えにくいが、返済負担率の分母は可処分所得ではなく年収なので、金利上昇の家計への負担は思ったより重くなるのではないか。

【まとめ】

もしホルムズ海峡が開放された場合、日本経済、日本株には追い風である。日銀が利上げすることは驚きだが、仮にエネルギー価格が減少するのであれば影響がそこまで大きくはならないかもしれない。

日銀が利上げしたとしても政策金利は1.0%程度である。諸外国に比較すると低い。イラン戦争の和平合意が成された場合、一般家計に対する負担をのぞいて、金融市場への影響は軽微だろう。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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