経済金融

【ドル円・日本株】イラン戦争は長期化するのか

yuta8068@gmail.com

2月28日に開戦したイラン戦争は2週間が経過した。
米国のトランプ大統領は開戦当初、戦争の期間を「4〜6週間」としており、仮に4週間だとすると半分が経過したことになる。

各種報道によると米国とイスラエルの軍事作戦は数ヶ月前から準備されており、初日のイラン最高指導者への攻撃等を考えると周到に準備されていた可能性が高いだろう。
ヘグセス国防長官はこれからの1週間でさらに攻勢を強める事を示唆している。

今回はイラン戦争が長期化する際のシナリオ、可能性、そして投資判断について考えていきたい。

【長期化シナリオ】

長期化する上で、米国とイランの動きや幾つか戦況等で判断すべきポイントを考えてみる。

  • 米軍や同盟国・周辺国が地上軍を派遣する:最も長期化が想定されるシナリオ。収拾に時間がかかる恐れ。
  • 米軍がイラン経済の生命線であるカーグ島の石油施設を破壊する:現在カーグ島の軍事施設のみを攻撃しており、トランプ大統領はイラン側がホルムズ海峡封鎖を解かない限り「面白半分」で追加攻撃するとしている。カーグ島を完全破壊した場合、イランは失うものがほとんど無くなるので文字通り徹底抗戦となり戦争は長期化することになる。ただし、イランは元々経済的に豊かではなく、石油等の輸出が出来なくなると継戦能力が著しく悪化することになる。ホルムズ海峡封鎖を解かない場合、米軍が完全破壊する可能性は十分に考えられる。
  • イランが周辺国へ本格的な軍事攻撃を実施する:イランは既に周辺国の米軍基地等に攻撃を繰り返しているが、事態打開の為に周辺国への攻撃を強化する可能性がある。ただし、イラン側も相当消耗していることが考えられ、戦況の大きな流れを変えることは難しいだろう。

最大の焦点は米国が地上軍を派遣することである。ただ、今のところ米国の動きを見る限り可能性は低いだろう。

米国とイスラエルはイランのミサイル、インフラに対して攻撃しており継戦能力を削ぎ落とす意図が見られる。イランは敗北は体制転換を意味しており、徹底抗戦の構えである。

トランプ大統領や米国高官、米軍の言動を確認すると、イランが降伏せざるを得ない状況まで攻撃を継続する可能性が高いだろう。少なくとも当初の予定通りあと2週間程度は攻撃が続くのではないか。

【米国側の政治的経済的な継戦能力を考える】

トランプ大統領はホルムズ海峡や原油価格に度々言及し、気にしている素振りを見せている。秋には中間選挙があるので、選挙への影響を考えれば長期化は避けたいとの言説もある。米国側に出来る限り短期間で終結させたい意図があるのは確かである。ただし、それは米国とイスラエルが勝利したと言える条件が整う前提が必要である。

今の所、トランプ氏や米国共和党の支持基盤であるMAGA派や福音派は今回のイラン攻撃を支持している。特に福音派は米国の2割近くを占めており、中間選挙を考える上で重要な要素となっている。

ちなみに米国では議会の力が強いが、米国のマイク・ジョンソン下院議長は福音派団体の顧問弁護士出身である。ヘグセス国防長官やルビオ国務長官も福音派或いは支持基盤に福音派が存在しており、今回のイラン戦争はイラン側も含め宗教色がやや強い。(もちろん、核開発や石油利権等様々な要素も大いに関係していることだろう)

また、宗教的思想は米軍にも及んでおり、今回のイラン攻撃を「アルマゲドン」等と結びつける発言をする軍高官・司令官が存在するとの報道も出ている。

イランによるホルムズ海峡封鎖はイランを攻撃する場合、当然想定される話である。にも関わらず、米国は攻撃した。トランプ大統領は原油価格高騰よりもイランの核開発阻止の方が重要とする発言もしており、原油価格によるインフレ懸念よりもイランへの攻撃を重視する姿勢を示している。原油価格高騰は米国にとって利益とすら言っている。

まとめると、以下が考えられるだろう。

  • 詳細は不明だが、米国の計画だと当初4〜6週間程度の攻撃でイラン攻撃の軍事目標を達成できると考えられていた。つまり、あと2〜4週間程度は攻撃が続く可能性が高い。
  • 宗教戦争の色も強く、支持基盤の福音派等が懸念しない限り政治的には攻撃が続く可能性がある。
  • 中間選挙への影響も考慮されるが、まだ半年以上先の話である。
  • 宗教や政治だけでなく、当然経済面の影響も考慮されている。交渉によるホルムズ海峡の封鎖解除と軍事攻撃によるイランの継戦能力破壊のどちらが早いか、天秤にかけられている可能性はあるだろう。軍事的には米国・イスラエルとイランの間には大きな差が開いている。
  • ホワイトハウスの意思決定は福音派以外にも様々な勢力、議会、側近に影響されており、今後更なる方針転換が考えられる。
  • 原油等の資源価格高騰の懸念も当然あるが、米国の行動を見ると、目標達成のために戦争を継続し、それに伴う資源価格高騰を緩和させようとしている様にも映る。

まだまだ米国は継戦可能であり、目標達成の為に継戦する意図がありそうだ。

【株価への影響】

株価への影響はまだまだ続きそうである。トランプ政権はカーグ島への攻撃を市場が閉じた後に実施する等、基本的に市場に配慮している。また、今のところ地上軍派遣を意図しておらず、比較的短期間で終結させたい発言も見られる。

軍事的に優位にある状況で米国が目標を放棄するとも考えにくく、まだ数週間は戦争が続きそうである。その間はボラディティが高くなり、戦争や原油に関する報道に市場は一喜一憂することだろう。

ただし、歴史的に見れば株価は戦争を経て上昇を続けている。各国のファンダメンタルが根本的に変わったり、業績や成長が見込める企業の構造やナラティブが変わったわけでもない。

投資家は、戦争を一つのイベントと捉え、株価が乱高下したとしても冷静に推移を見守るべきだろう。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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