経済金融

【ドル円・日本株】イラン戦争の教訓と株価について

yuta8068@gmail.com

米国とイスラエルがイランに先制攻撃して始まったイラン戦争は1週間が経過した。トランプ大統領は目標達成の為、さらに数週間攻撃を継続する構えである。

イランはここに来て態度を緩和し、中東の周辺国に謝罪し今後攻撃を実施しないことを伝達、さらにホルムズ海峡についても船籍(米国とイスラエル以外)によっては通過を見逃すとしている。

日経平均は開戦以来大幅な下落を繰り返しており、現在日経平均先物は3%近い下落幅となっている。

今回はイラン戦争における投資家、国家の教訓と株価の行方を考えていきたい。

【戦争と株価の見通し】

日経平均は開戦前の58,000円台から下落と上昇を繰り返し、55,000円台となった後に現在先物では54,000円台となっている。

日本はエネルギー輸入の多くを中東に頼っており、経済への影響懸念から株価下落しているものと考えられる。また、元々高市政権誕生と衆院選を経て日経平均は大幅に上昇しており、調整が発生しやすい状況だったとの言説もある。

原油価格が1バレル90ドルまで急上昇しており、米国とイスラエルは継戦を意向を示していることから、原油価格上昇がいつまで続くかが焦点となる。

トランプ大統領はイランに「無条件降伏」を求めていると発表した。無条件降伏の定義にもよるが、通常はイランがそのまま飲み込むとは思えない条件である。わざわざこの言葉を持ち出すところに米国の余裕と自信を窺い知ることができる。

このブログでも何度も触れているが、トランプ大統領の過激な発言に振り回されがちだが、米国政府は大統領一人によって運営されているわけではない。背景には議会、民間企業、ブレーン、側近、官僚、金融界、司法の存在が多層的に存在し、極めて戦略的に動く組織である。人材も多様であり、例えば財務長官のベッセント氏は有力なヘッジファンドマネージャー出身である。

イラン戦争自体、何ヶ月も前から準備と想定がなされており、戦争の推移も米国の計画によって実行されている可能性が高い。米国の継戦能力についても、イランの攻撃能力や対空能力を削減することで、単純な爆撃等に切り替えることで担保することができる。従って、トランプ大統領が述べていたように、イランが無条件降伏せざる得ない状況まで、少なくとも開戦から4〜6週間は継続する可能性が高く、そうなると3月下旬までは攻撃が続くことになる。

イランは米国やイスラエルの発表によるとミサイル発射頻度が9割程度減少してきており、戦力が大幅に削られている。最高指導者も攻撃され、余力がない状況である。反撃したり、ホルムズ海峡を封鎖することで国際社会から非難を浴びており、外交交渉も米国から拒否され、手詰まりの状況である。

イランは戦況の悪化を受けてか、周辺国への謝罪と今後攻撃しないことを伝達した。また、ホルムズ海峡の事実上の封鎖解除(船籍によっては攻撃しない)を表明し、原油価格緩和の兆しが見られている。

過去戦争が繰り返されてきたが、それによって株価は一時的に下落することはあっても最終的には上昇している。しかも戦争にもよる株価下落は比較的短期間であることが多い。
今回のイラン戦争の影響も、各国のファンダメンタルズに深刻な影響を及ぼす程度までは考えにくく、原油価格上昇の見通しによるが、今回の株価乱高下は一時的である可能性が高いだろう。ウクライナ戦争は今回よりも遥かに影響が大きいが、結局のところ日経平均株価は当時から2倍になっている。

【投資家の教訓】

まだ戦争は終結していないしその道筋も明確では無いが、いくつか教訓があるのでまとめてく。

  • 戦争による株価への影響は歴史的に見れば一時的であり、結果的には買い場だったことになる。多くの現金資産を残しておく必要は無いが、積極投資できる資金は残しておくべきだろう。或いは、戦争等の事態は予測が難しい為、生じても慌てず静観できるポートフォリオを組んでおくべきである。(静観しても歴史的に見て株価は上昇を続けている)
  • 戦争の起点となる国は独裁国家が多く、警戒すべきである。米国によるベネズエラ、イランへの先制攻撃で国際法が議論されているが、歴史的に第2次大戦後も湾岸戦争、イラク戦争、NATOによるリビアへの攻撃、中東戦争、ウクライナ戦争、イスラエルへのハマスの攻撃、ベネズエラへの攻撃等、法的な正当性が疑わしい戦争や紛争は数多く生じている。国際社会には明らかな二重基準が存在し、独裁的な国家や組織への攻撃は例え国際法に違反したとしても許容される傾向にある。独裁国家が民主主義国や先進国、或いはその同盟国や権益に威圧や攻撃をした場合は批判や反撃を受ける傾向にある。
  • 経済的・軍事的に弱体化したり、仲間の少ない国は攻撃の対象になりやすく、警戒すべきである。今回のイランが当てはまる。イランは経済的には長年の経済制裁によって、強権政治にも関わらず民衆による大規模デモが生じる程貧窮が広がっていた。軍事的にも昨年6月のイスラエルとの交戦によってダメージを受けていた。また、ウクライナ戦争ではウクライナに対して各国が支援し数年にわたり継戦できているが、イランはほぼ見捨てられた状態である。今回、米国とイスラエルは周辺の中東諸国やロシア、中国がイランを積極的に支援しないと分かっていたため攻撃した側面もあるだろう。
    独裁国家はそもそも持続的な経済発展が困難な経済構造(収奪的経済構造)を抱えている。また、独裁国家同士が平時おいて強固な関係を築くことはほとんど無く、孤立しやすい(独裁国家は連携しにくく、独自の行動をする傾向にある)。民主国家は政権交代が起きても独裁国家への制裁等を長期間続け、時間をかけてダメージを与え、弱ったところで軍事行動に出るパターンが続いている。

【まとめ】

歴史的に見て、戦争による株価下落は一時的かつ比較的短期間である。イランは経済的軍事的体力が余りなく、米国との圧倒的戦力差から早晩決着がつくだろう。イランは追い詰められており、周辺国への謝罪、ホルムズ海峡封鎖の部分解除を仄めかしている。今後、米国によってホルムズ海峡を封鎖する能力自体、破壊される可能性がある。

投資家は今回の戦争を冷静に状況を見るべきである。そしていくつか教訓がある。

戦争という意味では、日本株投資家にとって最大のリスクは台湾有事である。現実に起なれば、その影響はイラン戦争の比では無いだろう。中国は独裁国家であり、大きなリスクを抱える。

重要なのは、日本が経済・軍事・科学技術・文化を発展させ、国際社会で日本単独で生き延びる能力を身につけることである。もう一つは、外交を強化し、国際的な仲間と利害関係を増やし、緊急時に孤立しないことである。

投資家も国民も国家に守られながらも支えている事を理解し、自分ごととして日本国の事を考えていくことが重要である。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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