【日本株】住友化学の1Q決算について
8月4日に住友化学の1Q決算が発表された。
内容は概ね堅調と言える。中東情勢の影響で未定としていた上期予想が発表されて、解像度が上がった。しかし、通期予想は上期予想がそのまま据え置かれており、保守的な決算内容となり、市場の反応も決算前日の3日から今週末にかけて-3円(-0.59%)と微妙な値動きである。
また、8月3日にゴッサムシティリサーチという空売り投資機関が住友ファーマに対するレポートを発表しており、このレポートの存在も市場に影響を与えている可能性がある。
今回は保有している住友化学の1Q決算内容を振り返り、今後の投資方針を考えていきたい。
【住友化学の1Q決算の概要】
売上収益は+9.9%、コア営業利益+125.2%(進捗率約29%)、純利益408億円(通期予想700億円に対する進捗率約58%)となっており、概ね堅調である。
上半期の純利益予想は700億円としており、通期予想も中東情勢の不安定等を理由に700億円で据え置いており、一見すると保守的である。
セグメントごとのコア営業利益を確認しておこう。
○エッセンシャル・グリーンマテリアル:大幅増益。最大の牽引役。ペトロラービグの交易条件改善、合成樹脂の市況改善。
○アグロ・ライフソリューション:大幅増益。メチオニンの交易条件改善。円安寄与。
○ICT・モビリティソリューション:減益。半導体材料の需要増で売上増加も固定費増加等。
○住友ファーマ:減益。米国の前立腺がん治療薬と過活動膀胱治療薬の売上拡大が寄与しているが、研究開発費が増加。
前年の赤字から第一四半期(1Q)としては過去2番目の好業績に急回復している。
しかし、内容的には石化市況の改善が大きく寄与する内容であり、注意を要する。
コア営業利益623億円の内、恐らく200億円前後は石化市況に支えられている部分と分析できる。そう考えると、通期の純利益700億円据え置きはやや保守的だが妥当とも言える数字である。
中東情勢が落ち着いた場合の石化市況の下落による、業績の揺り戻しに注意が必要だろう。一方で、下期には新規の農薬投入であったり、半導体不足によるICT部門の伸び悩みが今後解消される可能性があったり、売上が向上する余地もある。
また、住友化学は海外売上比率が大きく、円安による為替要因のプラスも一定程度存在するので、ドル円動向も今後重要になるだろう。
【ゴッサムシティリサーチのレポートについて】
8月3日のゴッサムシティリサーチのレポートについては、住友側はIRで事実無根と明確に反論し内容を否定している。監査法人から無限定適正意見を受領済みであり、法的処置も検討しているとのこと。
内容を見る限り、住友側の主張が正しいように思える。ゴッサムシティリサーチは空売りポジションを保有していると開示しているので、その主張についてはかなり割り引いて見るべきだろう。
【まとめ 〜構造改革は道半ば〜】
住友化学はペトロラービグへの出資比率を引き下げる等、石化市況に依存しないようにしてきている。半導体と農薬に集中投資し、構造改革を進めている。
しかし、今回の決算ではエッセンシャル・グリーンマテリアルがコア営業利益前年比+327億円と最大の牽引役となっている。
とは言え、石化市況に依存しない、実力ベースでも400億円強はコア営業利益が出ており、今回の決算で会社計画達成の確度は高まっている。農薬や半導体への投資効果も下半期や来期以降に徐々に出てくるはずである。そうなれば増配余地が生まれてくる。よって、中長期的にはホールド継続の判断である。
ただし、、例えば双日と比べると確度のある決算内容ではない。まだまだ石化市況の影響が大きく、今後の構造改革の進捗度合いを確認していく必要があるだろう。
