経済金融

【日本株】イラン戦争終結シナリオと「ビハインド銘柄」の巻き返し

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現在、日本株市場はイラン戦争に伴う原油高やインフレ懸念により、方向感の定まらない展開が続いている。しかし、投資家として常に「その先」の展開、すなわち戦争終結に伴うマクロ環境の転換と、これまで売り込まれてきた出遅れ(ビハインド)銘柄の巻き返しシナリオを想定しておく必要がある。

今回は、終戦に向けた各国の水面下の思惑と、それが実現した場合に反転攻勢が期待されるセクターについて考察したい。

1. 終戦に向けた各国の「都合」とインセンティブ

表面的には対立が激化しているものの、主要各国には早期停戦を望む強力なインセンティブが水面下で存在している。

  • 米国の都合(中間選挙への影響)トランプ政権の支持率は、ガソリン価格の高騰などが響き38%前後で低迷している。11月の中間選挙を控え、国民の生活費を直撃する戦争の長期化は共和党にとって極めて大きな逆風となるため、早期の事態収拾を図りたいのが本音だろう。
  • イランの都合(原油生産能力の恒久的な喪失リスク)米軍によるホルムズ海峡の封鎖により原油輸出が滞り、イランは深刻な収入減に直面している。さらに致命的なのは、石油貯蔵施設が満杯になり減産(油井の稼働停止)を余儀なくされた場合、「水コーニング」と呼ばれる現象によって日量30万〜50万バレルの生産能力が恒久的に失われるリスクがあることだ。これは国家の経済基盤を根底から揺るがす事態である。
  • アジア・欧州の都合日本、中国、インドなどのアジア諸国は、エネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡の早期開放と原油価格の安定を強く望んでいる。また欧州は、米国のパトリオットなど防空システムが中東に振り向けられ、ウクライナへの軍事支援や関与が低下している現状を強く危惧しており、早期停戦を求めている。

2. 戦争終結で巻き返す「ビハインド銘柄」

もしこれらのインセンティブが働き、停戦合意とホルムズ海峡の再開に至った場合、原油高で打撃を受けていた以下のセクターに強烈な巻き戻しが起きる可能性が高い。

  • 空運・電力・ガス・総合化学メーカーこれらは原油価格上昇による燃料費や原材料費の高騰がダイレクトに業績を圧迫するセクターである。原油価格の正常化は、利益率改善の強力なカタリストとなる。
  • 内需関連株資源高を背景とした輸入インフレが落ち着くことで、これまでコスト高に苦しんできた小売などの内需株にも資金が向かいやすくなる。
  • 銀行株現在、日銀はイラン情勢による景気下振れリスクを警戒し、事実上の利上げ見送りを余儀なくされている。戦争が終結しマクロの不確実性が払拭されれば、日銀の正常化プロセス(利上げ)が再開されるとの観測が高まり、利ザヤ改善期待から銀行株が再び見直される展開が予想される。

3. 青髭の結論

各国の内情を客観的に見れば、早期終戦に向かう力学は十分に働いている。原油高に苦しんできた空運や銀行などのビハインド銘柄を、今のうちにポートフォリオへ少しずつ組み込んでおく戦略は一考に値する。

ただし、歴史を振り返れば、米国が関与する中東の戦争は泥沼化・長期化しやすいという最大の懸念点も忘れてはならない。停戦交渉が難航し、影響が想定以上に長期化するリスクは依然として残っている。

したがって、不確実な地政学リスクやインフレ・資源高の影響を相対的に受けにくい、AIや半導体関連銘柄をポートフォリオのコアとして保有し続ける方が、結果的に賢明な投資判断となる可能性もあると感じている。マクロ環境の劇的な変化を注視しつつも、特定のシナリオに過度に依存しないバランスの取れたポジション構築で、この難局を乗り切る機会を待ちたいと思う。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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