経済金融

【ドル円・日本株】日米の利上げと為替、市場、住宅ローンへの影響

青髭

先週FOMCと日銀金融政策決定会合が終了した。
結果はどちらも0.25%の利上げである。ドル円は156円台まで上昇している。

今回は両国の今後の利上げ見通しと為替や市場等への影響を考えていきたい。

日銀とFRBは利上げ決定、為替と市場への影響

日銀とFRBは利上げを決定した。
特にウォーシュ議長はトランプ大統領からの圧力に屈することなく利上げを決定した。今後の金融政策も政治的な判断は排除される可能性が高いだろう。

今後の追加利上げ見通しだが、市場予想等も加味し筆者は以下がメインシナリオと考える。

○日銀
・来年3月までに更に1〜2回の追加利上げ。もしかしたら年内にもう1回追加利上げ。
・ターミナルレートは1.75〜2.00%と予想。
・植田総裁は機械的な利上げに否定的。審議員7人の内2人が利上げに反対。

○FRB
・年内にもう1回追加利上げの可能性があり、そこで一旦利上げ終了。

つまり日米ともにあと1〜2回の追加利上げが考えられる。
日本の場合、CPIや経済成長等を加味すると概ね上記の予想は妥当だと考える。利上げの理由を何に置くのかによるが、そもそも日本のCPIは2%弱なので、単に物価上昇だけを理由とするには無理がある。

円安の抑制を利上げ理由にするならば、FRBが残り1回程度の市場予想なので、日銀のターミナルレートはあと1〜2回の利上げを織り込むのが妥当、CPIを考慮すると1.75%までの利上げは十分考えられるという筆者の予想である。

日米の利上げ幅に大きな差はないので、ドル円については大きな円安も円高も考えにくいが、仮に日銀の追加利上げ姿勢が強まるのであれば穏やかな円高方向に進むだろう。

株式市場への影響だが、これは軽微と言える。
というのも日米ともに企業収益は問題なく、不況に陥る兆候はない。米国は高金利と需要増が継続、日本は穏やかな景気拡大局面である。直ちに株価に影響は起きるとは考えにくいだろう。とは言え、当然個別の企業決算は確認していく必要はある。

住宅ローンへの影響

より重要なのは住宅ローンへの影響である。
日本では住宅購入者のうち8割近くが変動金利でローンを組んでいる。
特にローン残債の多い30〜40代の若年中堅層は大きな影響を受ける。

筆者は日銀のターミナルレートが1.75〜2.00%と考えるが、2024年頃まで日本の住宅ローン変動金利は0.4%だった。仮にあと2回日銀が利上げした場合、変動金利は2%程度まで上昇することになる。十分考えられるシナリオである。ではどの程度家計にストレスを与えるのか。

・3500万円を35年借りていた場合:年間25〜30万円の負担増。
・5000万円を35年借りていた場合:年間40万円の負担増。
※残債を無視した粗い計算である。

一方で日本の家計の可処分所得はこの2年間で約1.9%しか上昇していない。しかも、住宅に比べれば金額は小さいが、金利は自動車ローンや教育ローン等、ローン全般に影響を及ぼす。

家計は様々なので一概には言えないが、住宅ローン返済世帯は日本に約800万世帯存在するので、それなりに影響が出るだろう。
※金融資産や預金が多い世帯はプラスも十分考えられる。

また、住宅購入にも大きな影響が考えられる。
例えば日本の平均的な毎月12万円程度を住宅ローンや賃料に35年間支払いできる層が、物件購入を検討する場合、2024年との比較では借入可能額は以下の通りとなる。

・住宅ローン金利0.4%(2024年頃まで):約4,850万円
・住宅ローン金利2.0%:約3,740万円

つまり粗い計算だが1,000万円ほどギャップが生まれることになる。
住宅購入層にとっても大きな変化が生まれている。

投資で考えれば、当然住宅メーカーや不動産関連、内需関連には逆風である。銀行や保険関係は恩恵を受けることになる。AIやIT等は為替や金利の影響を受けにくいので株価的にはある程度恩恵が考えられる。

一方で、日米ともにいつまでも高金利が続くとは考えにくい。歴史的に見れば利上げと利下げは繰り返されてきた。特に現状はウクライナやイラン等の地政学的な部分が物価に影響を与えている。

逆張りの観点で考えれば、日銀やFRBのターミナルレート付近で住宅関連銘柄に投資を検討することは一考の余地があるだろう。実際、バークシャーは住宅大手に投資を開始している。

まとめ

今回の日米の利上げとその見通しは為替や経済、市場以上に住宅ローン関連に影響が大きいと考える。日本の住宅購入層の多くは変動金利である。家計に対し少なくない影響が出てくるだろう。

その為、住宅関連銘柄には逆風なのだが、収益基盤や財政基盤がしっかりしている銘柄は逆に投資妙味が高まる場面である。

今後も日銀などの動向に注視し、投資判断の思索を続けていきたい。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
会社員として本業を続けながら、日本個別株に投資。割安性、業績サイクル、構造改革、株主還元に加え、為替・金利・資源市況から企業の変化点を分析しています。
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