【ドル円・日本株】高市政権で日経平均株価はどこまで上昇するのか
10月21日の首班指名で正式に高市政権が発足した。
その後、日米首脳会談等の外交日程を終え、ドル円は154円台まで上昇し、日経平均株価も上昇基調が続いている。
高市政権は外交面では第2次安倍政権を踏襲しており、安倍政権で登用されていたスタッフを再登用している。経済面でも責任ある積極財政のもと、アベノミクスの路線をある程度継承している。
今回は第2次安倍政権発足時、アベノミクスと高市政権の経済金融政策を比較し、日経平均株価がどこまで上昇するのか検討してみたい。
【アベノミクスによる日経平均株価上昇と高市政権の期待値】
野田内閣による衆院解散後の勝利によって発足した第2次安倍政権は、アベノミクスによる金融緩和政策により高い支持率を維持し長期政権となった。
第2次安倍政権発足が2012年12月であり、2020年9月まで続いた。コロナ禍による株価下落を除き、どの程度まで株価が上昇したのかおさらいしておこう。
- 2012年12月:9700円台
- 2019年12月:23000円台(コロナ禍の直前)
- 上昇率:約2.4倍
高市政権は日銀による利上げを否定はしないものの、牽制しており、積極的な財政政策や金融緩和が期待できる点でアベノミクスによく似ている。
財務大臣や税調会長も変更になっており、政策転換の意思が読み取れる。
仮に同程度まで上昇した場合、10月21日時点での49,316円から118,300円程度まで日経平均株価が上昇することになる。これは高市政権が市場の期待通りの政策を実行し、選挙に勝利し、長期政権になることによって実現可能性が高まる。
高市内閣の支持率が低下したり、選挙で敗北する等した場合は上昇のスピードは落ちる可能性が高いだろう。
株式市場は一度アベノミクスを経験している。その為、市場の織り込みが進む可能性があり、安倍政権時よりも早いピッチで株価上昇が進む可能性がある。特に衆院選挙で高市政権が勝利した場合はその動きが加速することだろう。
【円安は容認されるのか】
日銀の植田総裁は10月30日の会見で政策金利を据え置き、12月の利上げを明言しなかった。10月9日のロイター通信によるインタビューで安倍政権で内閣官房参与を務め、多大な影響を及ぼした本田悦朗氏は早期の利上げに慎重な見解を示している。
本田氏は総裁選直前に高市首相と面会しており、高市首相は安倍政権時の人脈を重視していることから、本田氏のスタンスは今後の政策を予想する上で参考すべきだろう。
つまり、高市政権は円安を容認するスタンスである。
また、トランプ大統領はかつて円安を牽制を繰り返す発言をしていたが、日米首脳会談や片山財務大臣とベッセント財務長官の会談で具体的な言及は無かった。
トランプ政権の最大の関心事は財政赤字と貿易赤字の縮小であり、関税政策とそれに付随する交渉及び為替はあくまで手段に過ぎない。日本が米国への直接投資や米国製品(武器や航空機等)の購入等、他に変わる提案があれば、為替は問題視しないということだろう。
尚、半導体にしろ、航空機にしろ、米国で製造される工業製品の作成過程や部品には高確率で日本企業やその製品が関わっており、米国の貿易赤字の縮小は日本にも一定程度の恩恵がある。
日米両政府が円安をある程度容認するのであれば、日経平均株価にはプラスである。米国経済に不況の兆しがほとんど見られないこともプラス要因である(利下げ局面にあるが、ドル安に傾いていない)。
【まとめ】
高市政権が長期政権になる見通しが高まれば、株価の上昇スピードの速度も上昇していくことだろう。
輸出産業を中心に、AI関連、不動産、精密機器、建設、インバウンド、内需関連、原子力関連、防衛調達関連、大型株から小型株まで等幅広い銘柄にチャンスがあるだろう。日経平均株価自体の打率も良いはずである。
高市首相の日韓首脳会談や日中首脳会談も今後の投資環境整備を占う上で、好スタートを切ったと言えるだろう。少なくとも無用な軋轢を回避し、主張すべきところは主張し、特に韓国と未来志向の関係性を築く一歩になったのではないか。
今後の株価推移、政局に注視していきたい。
