経済金融

【日銀・日本株】4月会合の利上げ確率は?「中立金利」とセクター別戦略から読み解く今後の展望

yuta8068@gmail.com

いよいよ4月27日〜28日に迫った日銀の金融政策決定会合。今回の最大の焦点は「4月の追加利上げがあるのかどうか」である。

結論から言えば、現在の市場が織り込む利上げ確率は「60%超」となっており、実施の可能性は十分に高いと推測している。

今回は、直近の日銀「主な意見」や日銀短観などのデータ、足元の政治・地政学リスクを踏まえ、4月利上げの確率と「もし利上げが起きたらどのセクターが笑い、どのセクターが泣くのか」、そして私自身の投資戦略について考察していきたい。

市場が織り込む4月の利上げ確率は「約60%」

現在、短期金融市場では4月会合での追加利上げが6割超の確率で織り込まれている。

直近の動きを振り返ると、4月上旬の日銀支店長会議で慎重な意見が目立ったことや、イラン情勢の緊迫化で一時は50%程度まで低下した。しかしその後、中東情勢の過度な懸念が一旦和らいだことなどを受け、再び60%程度まで持ち直している。市場は依然として、日銀が近い将来に追加利上げに動く可能性を高く見積もっていると言えるだろう。

日銀「主な意見」から読み解く利上げのサイン

では、日銀内部ではどのような議論が交わされているのか。直近の「主な意見」を紐解くと、追加利上げに向けた地均しとも取れる強気な意見が散見される。

1. 物価と賃金の好循環への自信

主な意見では、「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」という方針が明確に示されている。実際、連合の春闘第3回集計でも中小企業での力強い賃上げが確認されており、日銀が前提とする「好循環」は着実に実現に近づいているのではないだろうか。

2. インフレ期待の上振れリスクと短観の強さ

4月公表の「日銀短観」でも、企業の物価見通し(1年後)は+2.6%へ上振れした。主な意見の中にも円安によるコストプッシュ型の物価上昇を警戒する声があり、実質金利が大幅なマイナスにある現状を早期に是正したい日銀の思惑が透けて見える。

これらを総合すると、日銀が4月に利上げに踏み切るための「理論武装」は既に完成しつつあると言っていいだろう。

利上げを阻む懸念材料:政権の意向とイラン情勢

一方で、4月利上げを確実だと言い切れない懸念材料(残りの40%)も存在する。それが「政治」と「地政学リスク」だ。

  • 高市政権の意向: デフレ完全脱却を掲げ、物価抑制よりも景気浮揚に配慮する姿勢を鮮明にする現在の政権に対し、日銀が景気に冷や水を浴びせかねない性急な利上げを行いにくいという側面がある。
  • イラン情勢による不確実性: 中東情勢悪化による原油高と円安進行は、日本経済にとって大きなストレスだ。この外部環境を見極めるため「4月は一旦据え置き、6月以降に利上げを行う」というシナリオも十分に考えられるだろう。

【セクター戦略】利上げで「笑う銘柄」「泣く銘柄」

仮に4月に利上げが実施された場合、あるいは据え置きでも「次回利上げ」の強いサインが出た場合、日銀の軸足が「景気配慮」から「物価抑制」へ移ったと受け止められ、市場全体には一時的な下押し圧力がかかりやすくなる。しかし、その影響はセクターによって明確に分かれるはずだ。

【恩恵を受けやすいセクター(追い風)】

  • 銀行・保険(金融セクター):金利上昇の恩恵を最もストレートに受ける王道セクターだ。銀行の預貸利ざや改善や、保険会社の運用利回り向上が直接的な増益要因となる。すでに株価はある程度織り込んでいるものの、中長期的な収益力向上は本物だろう。

【ビハインドになりやすいセクター(向かい風)】

  • 不動産・高PERグロース株:多額の有利子負債を抱える不動産セクターは資金調達コスト増がダイレクトに響く。また、足元の利益より将来の成長期待で買われている高PERのグロース株は、金利上昇による「割引率」の上昇で理論株価が目減りしやすく、売られやすい傾向にある。

青髭の投資戦略:日本株は利上げ後も「堅調」である

以上の状況を踏まえ、我々個人投資家はどう動くべきか。ここからは私個人の見解だが、仮に日銀が利上げに踏み切ったとしても、日本株は中長期的には堅調に推移すると考えている。

理由は大きく二つある。

第一に、利上げをしたとしても諸外国に比べて依然として圧倒的な「低金利」であること。第二に、日本企業の収益構造は、少々の金利上昇では揺るがないほど強固になっているからだ。

ここで重要になるのが、景気を熱しもしないし冷ましもしない「中立金利」の水準だ。報道によれば、黒田前総裁はこの中立金利を1.5%程度と見積もっていたという。現在の政策金利(0〜0.1%程度)を考えれば、今後日銀が引き締めを図るにしても、残り最大で1.4%〜1.5%程度の利上げ余地しか残されていない計算になる。

利上げの妥当性はともかくとして、金利の「絶対水準」としては間違いなく緩和的であり、株式市場全体をクラッシュさせるような金融引き締めにはならないのではないだろうか。

したがって、本業を持つ会社員の個人投資家が、日々のヘッドラインに過度に怯える必要はないと考える。

短期的には金利上昇のダメージを受けやすい「不動産」や「割高なグロース株」の比率を少し落とし、恩恵を受ける「金融株」や、下値が硬い「業績好調な高配当バリュー株」をポートフォリオのコアに据えるのが王道だろう。

もし利上げへの過度な警戒感から全体相場が下落する局面があれば、それら優良銘柄を安値で拾う絶好のチャンスとなるはずだ。

まずは4月末の日銀会合と総裁会見のトーンを冷静に見極めつつ、日本企業の強さを信じてどっしりと構えていきたい。


【補足① 〜イラン戦争の行方〜】
報道によると、米国とイランの和平交渉は低調に終わった。突然合意する可能性もゼロではないが、トランプ大統領が中間選挙への影響を言及するなど、長期化の様相である。黒田前総裁の中立金利に関するインタビュー記事が報道される等、日銀は利上げの準備を進めているが、戦争長期化が見込まれるなら利上げ見送りの公算が大きくなるだろう。

【補足② 〜日銀利上げの妥当性〜】
今回日銀が利上げするとして、その妥当性はどうだろうか。日本のCPIは既に2%を割り込んでおり物価面からは妥当性は低い。確かに過度な円安は問題だが、物価が低下している事実を考えれば円安是正の必要性も揺らいでいる。日本の有効求人倍率は穏やかに減少傾向にあり、イラン戦争が続く中での利上げは経済にはマイナスである。日銀は慎重に判断すべきであろう。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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