経済金融

【ドル円・日本株】日米貿易交渉と日銀の動向について

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5月13日に日銀の主な意見が公表されている。内容は日米貿易交渉を見据えて、追加利上げのトーンがやや後退している。

90日間の追加関税猶予期間が迫る中、日米貿易交渉の進捗は芳しい報道がなされていない。今回は、日米貿易交渉とそれを踏まえた日銀の動向と、株価への影響を考えていきたい。

【4月30日・5月1日開催分日銀の主な意見】

日銀の「主な意見」の要点をまとめてみる。

  • 日本経済は穏やかに回復している。物価は2027年まで2%近傍を維持し、概ね「物価安定の目標」と整合的な水準で推移する。これは賃金の伸びと労働需給の逼迫に支えられている。(ただし、5月1日発表の展望リポートでGDP成長率を2025年が0.5%とするなど、前回から引き下げている)
  • 米国の関税政策によって、これまでの見通しが大きく揺るがされている。関税の帰結と企業の対応、為替動向によってはこれまでの見通しに大きな修正があり得る。関税政策の見通しが明らかになるまで、様子見モードを続けざるを得ない。
  • 見通しは2%の「物価安定の目標」を実現する姿となっており、実質金利は大幅なマイナスであるので、利上げしていく方針は不変である。

日銀の基本姿勢は今までと変わらず追加利上げ継続である。ただし、トヨタ自動車が26年3月期を減益見通しを発表するなど、トランプ関税の影響は出始めている。米国でもGM等自動車各社は通期利益予想を引き下げている。日米貿易交渉がまとまり、米国の関税政策の見通しが明らかになるまで一旦休止のようである。

トランプ関税の追加関税猶予期間は90日間である。既に期間の半分近くを消化しているが、日米間での大きな進展は報道されていない。日米貿易交渉の内容がまとまり、日本経済への影響が明らかになるまでは追加利上げが再開される可能性は低くなっている。

一方で日銀が指摘しているように、日本は実質金利は大幅なマイナスである。さらに、実質賃金もマイナス、CPIは3%以上が続いている。米国の関税政策の影響を見極めつつも、基本的には追加利上げを実施する姿勢を維持している。

【日米貿易交渉の動向と企業への影響】

今の所、日米貿易交渉に大きな進展は見られていないようである。事務レベルでの折衝は続いているようだ。

トランプ政権が日米貿易協定の見直しを視野に入れている報道もあり、難航している可能性がある。このまま交渉が長期化することも考えておく必要があるだろう。

日米貿易交渉で影響を受ける代表的な企業にトヨタ自動車がある。
トヨタ自動車は直近の決算(5月8日発表)で純利益見通しを前期比35%減益としている。トヨタについては4月分と5月分の関税影響しか折り込んでいないため、貿易交渉次第ではさらに影響を受けるので、注意が必要だろう。

【まとめ 〜追加利上げは日米貿易交渉次第か〜】

日銀は日米貿易交渉結果待ちの状況である。結果と影響が明らかになれば追加利上げを再開する可能性が高い。90日間の猶予期間を考えれば、6月中に日米間で合意に至る可能性が高いが果たしてどうなるだろうか。

先行する米英の合意では暫定的な合意が多く、ベースラインの10%関税は維持された。日米交渉でも10%の関税は残される可能性は高い。輸出関係銘柄は考慮しておくべきだろう。(ただし、現在の折り込みがマイナスの最大幅とも考えることができる。)

日本のGDPに占める輸出の割合は17%であり、比較的大きくはない。だが、相互関税の上乗せ分が発動した場合は、通年でGDPマイナス成長も考慮する必要があるだろう。

一方で猶予期間中に日米で合意が成された場合、GDP成長率はプラスになる可能性が高く、物価高及び経済成長に裏付けられた追加利上げと穏やかな円高が継続する可能性が高まる。円高や輸出企業への影響が懸念された場合、日経平均株価の上値は重くなる。

今後も日米交渉に注視していきたい。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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