米国株の今後のシナリオを考える
米国株は8月に入ってから始まった米国雇用統計発表を起点にした調整局面を迎えている。その後反発があったが、未だNYダウは40000ドルを回復していない。
今後の米国株のシナリオを考えていきたい。
【9月米国雇用統計までは不安定な値動きが続く】
直近の米国雇用統計で失業率が4.3%が上昇し、今年に入り上昇トレンドを形成している。そして、雇用統計が発表されると株価は急落した。失業率は過去を遡ると一旦上昇を始めるとそのまま継続し、最後は急上昇することが多い。米国は現在金利を5.5%まで引き上げており景気に大きなブレーキをかけているので、雇用の悪化は避けられない。そのことを市場は思い出した形だ。
次回の米国雇用統計は9月6日だが、主だった雇用関係の指標は8月中に発表されることは無く、しばらく小康状態あるいは不安定な値動きが続く可能性が高い。
今月の主要なイベントは
- 米国CPI(8月14日)
- ジャクソンホール会議パウエル議長講演(8月22日〜24日)
である。特にジャクソンホール会議は要注目だ。パウエル議長の米国経済に対する現状認識と今後の利下げ見通しが示唆されるだろう。
【失業保険新規申請件数(毎週木曜日)】
8月8日に発表された失業保険新規申請件数は予想を下回り、過度の景気後退観測が後退し米国市場、日経平均は一旦落ち着きを取り戻した。しかしながら、今回発表された23.3万件という数字自体はコロナ後の水準の中ではやや高く、今年下半期に入ってから徐々に水準が高くなっている。
失業保険新規申請件数も、過去のデータでは景気悪化時には30万件を超す勢いで急激に上昇しているので今後も注意が必要だろう。
【まとめ】
過去のデータ及び現在の失業率上昇傾向、そして米国政府とFRBが何ら対策を講じていない為、素直に考えれば9月の雇用統計でも失業率が上昇し米国経済の減速が示唆されるはずだ。今月の雇用統計を起点に米国市場が大幅下落したため、ある程度備えておくべきだろう。
また、経済指標ではないので根拠に乏しい話ではあるが、以下も参考にしておきたい
- バフェット氏の現金保有が過去最高に達している
- アノマリー的に9月の米国市場のパフォーマンスは低い
9月雇用統計の結果で今後の米国市場の方向性が示されることになるだろう。ただし、失業率が上昇傾向にあることを考慮すると、これから秋にかけて米国市場は調整に入るまたは大幅下落することがメインシナリオになってくるだろう。
米国市場が大荒れになった場合は日本市場も無傷では済まない。円高も進行するはずだ。過去の記事も参考にされたい。