【日本株・米国株】米国株は割高なのか
バークシャー・ハサウェイが過去最大規模まで現金を積み増していると言う。一説には市場の過熱感への懸念から現金比率を高めている可能性があるという。
実際、バフェット指数は200を超えており、過去を振り返ると割高な水準である。バフェット指数は株式の時価総額➗その国のGDP✖️100であり、数字が高いほど割高と言うことになる。
今回は日本株、日本市場へ常に影響を与え続ける米国市場の割高度について考えていきたい。
【バフェット指数200超えの意味】
バフェット指数が200を超えている状況をどのように考えるべきか。2022年ごろにバフェット指数が200を超える状況が続き、その後下落した。バフェット指数は時価総額が分子なので、時を同じくしてNYダウも下落している。過去、バフェット指数は200を大幅に超えたことが無く、現在の水準は高いと言え、株式市場の割高を意味すると考えることができる。
ただし、同時に考える必要があるのが、GDPとマネーサプライである。
米国の場合、幅に違いはあれど、時価総額、GDP、マネーサプライのいずれも拡大傾向にある。GDP成長率は新興国に劣るが、元々の分母が大きいだけに、北米で拠点を持つ企業に大きな恩恵があり、それが時価総額に好影響を与えている可能性はあるだろう。
また、マネーサプライは2022年以降、減少傾向だったが、近年上昇傾向である。そもそも、コロナ禍前の2019年と2025年を比較すると約1.5倍である。NYダウより、やや上昇幅が大きいことになる。米国は利下げを検討しており、もし利下げサイクルが再開した場合、さらにマネーサプライが積み上がり、時価総額の上昇を後押しする可能性はあるだろう。
そもそも、コロナ禍前まではバフェット指数の天井値は150前後であった。その為、マネーサプライの拡大を考慮した場合、株式市場の時価総額はまだ上昇の余地があると言える。(それでも高値圏ではあるが、、)
【PERで考えてみる】
NYダウのPERで考えてみると、現状25程度である。やや高値圏にあることは事実である。ただし、PERについては過去10年で見てもやや高い程度の水準であり、時価総額の拡大と比較すると穏やかな上昇にとどまっている。これは米国企業の収益が米国や各国のGDP拡大に伴い向上していることを示している。
PERで考えれば、割高感はまだ大きくは無い。
【まとめ 〜株式市場の行方は景気と物価、マネーサプライの拡大に注意〜】
米国株の行方を考える上で重要なのは、今後FRBが利下げする可能性が高いことである。仮に、景気が明確に悪化していない状況で利下げを実施する場合、マネーサプライは拡大する方向になる可能性が高いだろう。GDP向上に寄与し、最終的には株価上昇に繋がるかもしれない。(しかも、米国は大きな利下げ幅を残している)
米国は資産効果が効きやすい国なので、市場が順調であれば、実体経済にも好影響を及ぼしやすい。
懸念点はやはり雇用統計と物価(インフレ再燃リスク)になってくる。もし米国経済、企業収益に重大な疑念が生まれたり、マネーサプライの拡大が鈍化することがあれば、その時市場は鋭敏に反応する可能性がある。
また、米国株式が大きく割高で無かったとしても、割安でないことは確かである。米国の各種経済指標や雇用統計はやや後退を示すデータが続いている。バークシャーの現金の積み増しは株式が割安で無いことと、米国経済や企業収益に対して一定程度の疑念があることを意味するのかもしれない。その辺りには、今後注意が必要である。
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