【ドル円・日本株】円高と日経平均株価について
今年156円まで上昇したドル円は、このところ150円台を割り込む場面が見られ、4%以上の円高が進んでいる。それでも1年間の推移で考えれば、まだ3%程度円安である。
今回は今後のドル円の見通しと日経平均株価の見通しを考えていきたい。
【ドル円の見通し】
このところドル円の下落が続いており、現在は150円台を割り込んでいる。
米国の経済指標、雇用統計は総じて堅調ではあるものの、直近の経済指標では市場予想を下回る統計もあり強気とまでは言えない状況である。
1月の米国小売売上高はマイナス圏になり、2月PMIも製造業以外は予想を下回っている。労働市場は堅調であるものの、景気が悪化していくと当然影響が出てくることになる。トランプ政権による関税等の経済政策に対する不安感もあるのかもしれない。
米国の景気は以前ほどの安心感は無く、やや不安定な状態である。この状態で仮に雇用統計等の悪化等が見られた場合は、昨年夏頃に起きた株安と円高が一気に進行する可能性があり、注意を要する。NYダウのPERは26台とやや高値圏にある。
株安、景気や労働市場の悪化が見られれば利下げが意識されることになる。
対して日本経済は堅調である。先日発表された実質GDP成長率(10〜12月)は年率2.8%であった。CPIも穏やかな上昇を続けている。帝国データバンクによると今年に賃上げを実施予定の企業は6割を超え、過去最高に達する見込みである。
このまま行けば、日銀による追加利上げが継続するものと考えられる。
総合すると、恐らく穏やかな円高基調が続く可能性が高いのではないか。場合によってはコロナ後の円安を全て巻き戻す可能性もあり、今後の日米経済指標を注視し続ける必要がある。
【円高と日経平均株価】
過去3ヶ月では、ドル円と日経平均株価に相関関係は見られない。過去を振りかえれば強く相関関係があったが、直近では円高に対する株価への過度の心配は不要だろう。
ただし、中長期で考えれば、一般論として金利の上昇は株価にはマイナスである。これは、日銀による利上げをどこまで市場が織り込むかにもよるだろう。
前回までの記事でも触れているが、日銀の想定していた中立金利は1%である。もしマイナス金利の解消まで見据えるなら、それ以上となる。仮に2%程度まで政策金利が上昇したとしても、まだ先進国の中では緩和的な水準である。利上げ幅の可能性としては考えておくべきだろう。
【まとめ 〜日経平均株価は上値の重い展開が続くか〜】
追加利上げが想定されている中では、日経平均株価の上値は重くなっていくだろう。
トランプ政権による関税等の経済政策の行方も今のところ不透明である。落ち着かない日々が続くのではないか。
個別株の中では、繰り返すようだが、内需株、円高メリット株が中長期的には有望である。その中でも事業が成長しており、財務状況が問題なく、これから海外展開を加速させる銘柄がより有望だと考える。
注意しなければならないのでは米国経済の動向である。今のところ景気も雇用環境も問題なさそうに見えるが、日銀が追加利上げを続ける途中で、急激に米国経済が失速した場合は一気に円高に触れて、株式市場も無傷ではいられないだろう。
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