経済金融

【ドル円・日本株】高市総裁誕生について

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10月4日の自民党総裁戦にて、事前の予想を覆し高市早苗氏が自民党の新総裁に就任した。市場関係者の多くは小泉氏の勝利を織り込んでいた為、高市氏勝利はサプライズである。

今回は高市氏勝利後の市場の動きと有利となる銘柄を考えていきたい。

【円と株式市場】

高市氏は他の4候補と比較して積極財政と金融緩和の継続を掲げているので、円安と株高に振れる可能性が高いだろう。

高市氏は金融政策は「政府に責任」としており、日銀の独立性を尊重しながらも影響力を発揮するだろう。安倍政権時のアベノミクスに回帰していく可能性がある。

ドル円は150円台を伺う展開が予想される。日経平均株価はドル円の上値が軽くなるので、上昇基調が継続することが予想できる。

自民党は少数与党だが、国民民主党や参政党等の高市氏と政策の親和度が高い政党との連携が考えられる。他党との連携が不調に終る等、政策実行への不透明感が増した場合は上記の展開にややブレーキがかかる可能性があるだろう。

ただし、例え少数与党だとしても、石破政権の時のように一定の影響力は保つので、高市氏自身が大きく方針転換しない限り、上記の展開は基本基調として続く可能性が高い。

【恩恵を受けやすいセクター】

高市総裁誕生は株式全体にプラスになるが、特に恩恵を受けやすいセクターを考えていきたい。

まず、直接的な恩恵を受けやすいセクターは以下の通りだろう。

  • 防衛関連:高市氏は防衛産業への投資に言及しているため、直接的な恩恵を受けやすい。
  • サイバーセキュリティ:特に純国産の情報機器メーカー等が恩恵を受けやすい。AI関連や半導体関連は恩恵を受けやすい。
  • エネルギー安全保障:特に核融合や資源開発、電力インフラに関わる銘柄は恩恵を受けやすい。
  • 宇宙関連:通信衛星関連企業等、恩恵を受けやすい。
  • 国土強靭化・インフラ投資:建設、土木、機械、電機等。
  • 医療介護関連:高市氏は私生活で家族の介護を経験しており、医療介護業界の報酬改定引き上げに言及しており、今後直接的な恩恵を受ける可能性が高い。

続いて間接的な恩恵を受けるセクターは以下の通りだろう。

  • 輸出関連銘柄:輸出比率が高い企業は円安による恩恵を受けやすい。
  • 内需関連銘柄:実質賃金向上政策や所得税控除の引き上げ等、景気刺激策が予想される。小売、サービス、飲食等、景気や市民生活に身近なセクターが恩恵を受けやすい。
  • 不動産関連:日銀による利上げ期待が後退することによる。ただし、長期金利上昇による住宅ローン金利上昇が懸念されるので、それらの銘柄にはやや逆風の可能性もある。また、既に市況が高止まりしている兆候があることも注意が必要である。
  • インバウンド関連・国産関連:円安による恩恵を受けやすい。
  • 金融関連:株高によって恩恵を受けやすい。
  • 小型株・グロース株:業種によるが、利上げ期待後退及び金融緩和政策により恩恵を受けやすい。

明日以降、特にエネルギー安全保障、防衛関連等、高市氏が強く志向している政策に関わる銘柄は鋭敏に反応する可能性が高い。ただし、ボラディティが高くなりそうなので、政策実現度によって株価は大きく変動しそうである。

間接的恩恵銘柄は環境による追い風を受ける意味で、中長期に追い風を受けやすいだろう。こちらも経済金融政策を注意深く確認していく必要はある。

いずれにしても岸田政権、石破政権を継承する可能性が高かった小泉氏が敗れたため、銘柄選好に大きな変化が訪れる可能性が高まっている。

【まとめ】

高市氏勝利は筆者にとってもサプライズであった。円高基調を予想していたが、しばらくはこの予想を変更することになる。ただし、あまりに円安に進むとトランプ政権と軋轢を生むので、ある一定水準で何らかの対策を政府が講じる可能性がある。つまり、利上げ期待が完全に萎んだ訳ではない。その意味で地銀株等、利上げ期待で上昇してきた銘柄は下落局面を迎えるかもしれないが、思惑が落ち着いた段階で良い買い場が生じる可能性はある。円高メリット銘柄はしばらく逆風だろう。

市場関係者にとって高市氏総裁就任はサプライズであることは間違いなく、さらに海外投資家にとって女性初の首相就任(予定)はインパクトがある話で、株高の裾野が広がる可能性は高い。

今後の動きに要注目である。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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