経済金融

【日本株】スカイマーク第二四半期決算と今後の業績予想について

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11月11日に本ブログでも注目している銘柄であるスカイマークの第二四半期決算が発表された。今回は決算内容を振り返り筆者の事前予想の答え合わせをして、スカイマークの今後について考えていく。

【決算内容の振り返り】

第二四半期(中間)決算は下記の通りであった。

  • 営業収益:544億円(前年比4.7%増)
  • 営業利益:23億円(前年比26.9%減)
  • 経常利益:0.95億円(前年比98.4%減)
  • 純利益:−5.9億円(赤字)

また、2Q単独で特に重要な箇所を見ていくと、

  • 営業利益:45億円(前年比2.4%減)
  • 2Q単価:13981円(前年同等の水準)

2Q単独で考えれば、筆者の予想にやや届かない水準であった。ただ、第二四半期で考えれば、予想より経常収益が大幅に下がる結果となった。
要因としては、全く値上げが出来なかったこと、後述する為替差損の存在を加味していなかったことである。

2Q単独の営業利益はほぼ前年通りであり、歴史的な円安でもしっかり収益を稼ぐ構造ができていると言える。期の後半に円高、原油安に市況が振れたことも業績を下支えした。(一方で9月の急激な円高が為替差損という悲劇を生むことになる)

単価は、会社計画を下回っている。ANAとJALも値上げに苦戦していること、スカイマークの座席利用率が高止まりしていることを考慮すれば、これ以上の大幅値上げは困難なのかもしれない。下半期も同様の傾向が続くことが予想できる。

為替差損については予想外であった。

【為替差損について】

今回の中間決算では為替差損を実に22.5億円計上しており、利益を大幅に圧迫した。
IRによると1Q期末のドル円160円から2Q期末のドル円143円へ大幅な円高が進行したことで、スカイマークが保有する外貨建資産の評価替えが生じたことが原因という。

要するにドル建て資産が円高によって目減りし、その事を計上したという事である。
よって、赤字決算の原因ではあるが直ちに経営に影響が出るものでは無いだろう。
内容的には異なるが、ソフトバンクグループがかつてSVFが保有する株の評価損により大幅赤字になったことを思い出す。

報道によると、外貨建資産の内容は来期導入予定の新機材ボーイング737MAXのメーカーへの前払い金であるという。

現在のドル円は154円前後なので、このまま行けば今度は為替差益が10〜12億円程度発生する計算になり、期末時点で143円以上の円高になっていない限り為替差損は今後発生しないことになる。そう考えれば、今後支払いで消えてく予定の保有資産評価額が上下しているだけなので、あまり意味が無さそうに思えるが、そうでもない。

スカイマークの2024年3月期決算では経常利益74億円だったが、この内24.9億円が為替差益である。配当は調整後当期純利益をベースとしており、調整後当期純利益は税引前経常利益と法人税を基に計算されているが、税引前当期純利益は経常利益と同じ金額であった。経常利益と配当に影響を及ぼす時点で為替差損益は大変重要である。

筆者の理解が正しければ、今まで生じてきた為替差益が保有する外貨建資産(前払い金あるいは積立金の様なもの)の評価益によるものなのならば、本来の意味での利益とは言い難い。その意味で、前期の配当は大盤振る舞いだった可能性がある。(配当については大株主の意向による影響も考えられる)

【まとめ 〜今後の業績見通し〜】

単価が頭打ちとなり、円安が続いていることはネガティブである。一方で、有償旅客数は増加傾向であること、原油安が続いていることはポジティブである。

単価が頭打ちで有償旅客数も大幅な増加が見込めるわけでは無いので、業績が上向くには円高と原油安によるコストダウンが必須となる。

円安については米国経済次第のところがあり、インフレ再燃となれば継続する可能性が高い。テクニカル的にも52週移動平均線を上回る状況が続いている。ただし、現在の日米金利差は過去の同程度のドル円水準で見ると縮小しており、現在のドル円上昇前から米国の経済が好調であったことを加味すれば、かつての様に160円を超えてくることは考えにくい。米国経済についても、各種経済指標や既に好調であったことを考えればこれからさらに景気拡大するというより、穏やかな好調さをキープするのではないか。

原油安については、トランプ政権の政策と中国経済の減速、米国経済の維持よって、このまま下落傾向が続く可能性が高い。さらに今後、中東での地政学的リスクが減少することになれば、この傾向が加速するだろう。

会社の業績予想は営業利益35億円、経常利益36億円、純利益42億円で据え置かれている。前期下期の営業利益は15億円程度である。今期上期の23億円を足すと38億円なので、前期以上に市況が悪化しない限り、十分達成可能である。

経常利益、純利益は為替差損益と整備費用、法人税等調整額が絡み、かなり複雑なので予想が困難である。前期に大幅増加となった整備費は今期については落ち着く予定なので、こちらは少し期待が持てそうである。予想が困難であっても投資可否には重要なので、今後検討していきたい。

※11月17日追記
会社予想が据え置かれたので、どこまで会社予想を信じる事が出来るかが焦点になる。
会社予想だと経常利益36億円、純利益42億円、EPS71円となる。会社予想で着地した場合、EPSで考えると現在の株価水準は非常に割安である。業績が問題ない事がわかれば、会社への期待値が上がり、PERの上昇も見込めるからである。

来年3月末日時点でのドル円相場を予想するのは困難なので、為替差損益は2Q決算時のものが維持されたとして考えてみる。その場合、会社予想の経常利益まで残り35億円必要である。

上述の通り昨年度下半期の営業利益は約15億円であった。為替差損益を無視した場合、営業利益がほぼそのまま経常利益に変わったとして、会社予想の経常利益まで残り20億円必要である(営業収益が微増で、前年同期比でドル円が上昇、原油価格が下落している為、前年同程度と予想)。
ここで重要になってくるのが整備費用である。決算補足説明資料によると今期は昨年度よりは落ち着く予定である。実際に上半期は前期比で市況要因を含めても7億円減少している(約9%減)。そして下期だが、前期4Qで整備費を20億円程度を積み増しているので、これが今期どの程度減少するかが肝になる。
決算補足説明資料によると、前期と今期がエンジン整備回数が集中する期間となっている。従って、来年度に向けた整備費用の積み増しは今期は大幅に減るはずである。来年度に向けた整備費用20億円積み増しが無くなり、下期も上期同様に整備費が減少するのであれば、経常利益36億円の到達も十分可能である。

今後のドル円相場、原油市況に左右されるが、現在の株価水準を考えれば投資妙味が無いと断定することは難しいだろう。スカイマークの主要拠点の一つである神戸空港の拡張が来春に予定されていたり、国際線復帰に意欲があること、機材変更の予定を考慮すると成長性が若干ある上、現在の業績低迷が市況によるものであれば、中長期的には少しは望みが有りそうだ。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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