経済金融

【日本株・日本経済】2025年下半期の業種選択を考える

yuta8068@gmail.com

日経平均株価は6月27日に4万円台を回復し、年初来の高値を更新した。4月にトランプ関税が発動され、世界的な衝撃が走ったが、その後は消化してNYダウも年初来ではプラスとなっている。

今回は下半期に向けて日米両国の経済状況と関税交渉の影響から、下半期の業種選択も考えていきた。

【日本経済の状況】

いくつか影響の大きい情報をまとめておこう。

  • 米国経済:ISM非製造業景況指数や雇用統計等の主要な経済指標は堅調。ただし、中長期的には求人件数など雇用環境は緩和的に推移している。安定しているものの、今後現在の高金利を維持できるか微妙である。CPIもここ3ヶ月は2%台前半で推移している。
  • 米国金利:米国経済の堅調さを反映して利下げが停止している状況である。ただし、来月発表の失業率次第では利下げが再開される可能性はあるだろう。また、仮に利下げが再開となった場合、残された利下げ幅が大きい為、為替や株価への影響はそれなりにインパクトがあるだろう。(ある程度は織り込み済みと思われる)
  • 日本の経済成長:4月の日銀展望リポートでは年初の予想GDP成長率+1.1から+0.5%へ下方修正していた。トランプ関税の影響だろう。日本に対するトランプ関税は未だ引き下げられる気配がなく、影響は長期化しそうである。7月に日銀の展望リポートが更新されるため、そこで日銀の経済見通しを確認することができる。今後の展望リポートから、ある程度追加利上げの可能性を探ることができるだろう。
  • 日米関税交渉とその影響:各種報道によると日米間の隔たりが大きく、妥結までの道のりは遠そうである。また、ベッセント財務長官は各国との交渉妥結を9月1日まで延長することを示唆している。振り返れば第一次トランプ政権時での日米貿易交渉も半年〜1年は交渉妥結まで時間がかかっていたので、交渉が長期化する可能性がある。日本からすると最も大きな懸案が自動車関税であり影響は上述の通りそれなりにある。一方で米国側は特に急いで妥結する必要性が無い。さらに、日本は防衛費GDP比3.5%までの増額を求められている状況である。いずれにせよ、日米交渉がまとまらない間は日銀による追加利上げは難しいだろう。

米国経済は安定的であり、仮に不景気や雇用の不安定化の兆しが見えたとしても利下げ幅が大きい状況である。日本もトランプ関税の影響があるにせよGDP成長率は安定的であり、日米交渉の妥結が今後の好材料となり得る。

【有利となる業界、業種を考える】

現状を踏まえて、いくつか業界についての考えをまとめておきたい。

  • 防衛関係:今後政府調達が増加することが予想されるので安定的な収益向上が見込まれる。日本の防衛費はGDP比2%までの引き上げをようやく始めたところであり、米国の要求する3.5%までは大きな乖離がある。また、NATOが5%まで引き上げる決定を下したことも大きい。
  • 銀行:トランプ関税により追加利上げ期待が萎んでおり、さらにGDP下押し圧力となっている為、ややネガティブである。日米交渉妥結の兆しが現れれば好材料となる。
  • インバウンド関係:JTBの予想だと2025年の訪日外国人4000万人を超えて過去最高となる見込みである。政府目標は2030年に6000万人としている。日本において数少ない成長分野である。安定的な成長が見込めるだろう。ただし、円高は下押し圧力となる為注意を要する。
  • 自動車・輸出関係:トランプ関税の影響を大きく受ける。日米交渉妥結の兆しが生じるまでは業績は厳しいだろう。また、仮にある程度の交渉がまとまったとしても、トランプ政権が続く限り再度槍玉に挙げられる可能性があり当面ややネガティブである。日本に追加利上げの土壌があり、米国に利下げの可能性が残されており、円安に向かいにくい状況なのも向かい風である。
  • AI関係:IEAは2035年までにデーターセンターの電力需要はほぼ倍増すると予想している。今後、紆余曲折があるだろうが安定的な成長が見込めるだろう。業績に為替の影響を受けにくいことも魅力的である。
  • 内需関係:今後やや円高方向に進む可能性があることを考えれば、若干ポジティブである。

状況は移り変わるので、随時情報をアップデートしていく必要はある。

【まとめ】

来月の米国経済指標、特に雇用統計が重要になってくる。仮に失業率が4.3%を超えてくると利下げが大きく意識されることになる。その場合、雇用統計が景気後退を思わせる程悪化していない限り、株式市場にはポジティブなはずである。

日本は日米交渉の行方で大きく状況が変わってくるが、それでもプラスの経済成長が見込める状況である。当面追加利上げが困難ではあるが、それは株式市場にはプラスとなる。また、米国市場の上昇によって日経平均が引き上げられる可能性もある。

総合的に考えれば、ドル円は穏やかな円高方向、日本経済は穏やかな成長である。株式市場も内需関係を中心にやや安定的な推移が見込める状況が続くだろう。

ABOUT ME
青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
記事URLをコピーしました