経済金融

【日銀・日本株】市場は利上げを織り込むが…私が「4月利上げの妥当性は低い」と考える4つの理由

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前回の記事では、4月の日銀金融政策決定会合における利上げ確率が市場で60%超織り込まれている現状等を考察した。

日銀の「主な意見」などからは、利上げに向けた地均しを進めたい前のめりな姿勢が透けて見える。しかし、投資家として一歩引いて日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を見渡したとき、果たして今、金融を引き締めるべきなのだろうか。

私個人の見解としては、「現時点での追加利上げの妥当性は極めて低い」と考えている。日銀は利上げを急ぐべきではない。その理由を4つの客観的データから解説したい。

1. すでに物価(CPI)は目標の2%を割り込んでいる

日銀が利上げの絶対条件としているのが「持続的・安定的な2%の物価目標の実現」である。しかし、足元の消費者物価指数(CPI)の動向を見ると、すでにそのモメンタム(勢い)は失われつつあり、目標の2%を割り込む水準となっている。

これまでの物価上昇は、その大半が円安や資源高による「コストプッシュ型」であった。需要が爆発してモノの値段が上がっている(ディマンドプル型)わけではない中、インフレ圧力が落ち着きを見せている今、あえて金利を上げて需要に冷や水を浴びせる合理的な理由は乏しいと言わざるを得ない。

2. 有効求人倍率の緩やかな低下傾向

労働市場の逼迫度合いを示す「有効求人倍率」も、徐々にではあるが低下傾向にある。 人手不足が叫ばれて久しい日本だが、マクロデータで見れば、企業の採用意欲はピークを越え、雇用情勢はやや軟化しつつあるのが現実だ。

利上げ(金融引き締め)は、企業の資金調達コストを上げ、設備投資や採用を抑制する効果を持つ。労働市場に陰りが見え始めたこのタイミングでの利上げは、せっかく温まりかけた経済のエンジンを不完全燃焼に終わらせるリスクを孕んでいる。

3. ようやく見えてきた「実質賃金プラス転換」の芽を摘むな

これが最も強く主張したい点である。長らくマイナス圏に沈んでいた「実質賃金(名目賃金-物価上昇率)」が、力強い春闘の結果や物価の落ち着きにより、ようやくプラス転換の兆しを見せ始めている。

日本経済が真のデフレ脱却を果たすには、国民が「給料が上がったから、少し消費を増やそう」と思えるこの実質賃金プラスの定着が不可欠だ。 過去、日銀は2000年のゼロ金利解除や2006年の量的緩和解除など、景気回復の芽が育ち切る前に性急な利上げを行い、結果的にデフレを長引かせた苦い歴史がある。ようやく訪れた「実質賃金プラス」という千載一遇の好機において、過去の過ちを繰り返すべきではないだろう。

4. イラン情勢など外部環境の不確実性

さらに、中東におけるイラン戦争など、地政学リスクのくすぶりも無視できない。 有事による原油価格の高騰は、日本のような資源輸入国にとっては純粋な「国富の流出」であり、経済への強力なダメージとなる。こうした外部ショックの不確実性が高い局面では、金融政策は柔軟性を保つために「現状維持(様子見)」とするのがセオリーであるはずだ。

結論:日銀の焦りに惑わされず、冷静な投資判断を

以上の4点から、私は4月の追加利上げの妥当性は低いと考えている。

もちろん、市場の予測通り日銀が「正常化」という実績作りのために利上げを強行するシナリオも十分にあり得る。円安への政治的な牽制という意味合いもあるだろう。

しかし、我々個人投資家が直視すべきは、日銀の思惑以上に「日本経済の現在地」である。仮に不自然なタイミングでの利上げが行われ、短期的に相場が崩れることがあれば、それは実体経済の強さ(好業績の優良企業など)を信じて、淡々と優良株を拾うチャンスにもなり得る。

日銀が動くからといって、日本経済が過熱しているわけではない。この事実を冷静に受け止め、引き続き本質的な企業価値に着目した投資を続けていこう。

ところで、日銀は利上げにかなり意欲を示している。利上げの根拠にする為に、わざわざ需給ギャップの推計の見直しまで実施している。もし今までの推計が誤りで、誤った推計を元に誤った金融政策を実行していたのであれば大問題である。しかし、日銀は過去の振り返り等の点検は実施しないようだ。このタイミングでの推計見直しはかなり違和感がある話である。

何故日銀がそこまで利上げしたいのかは不明だが、有り得るとしたら、諸外国の利上げ姿勢と円安だろう。或いは米国からの圧力でもあるのだろうか。

それでも現在の状況下で利上げを実施することが妥当とは思えない。今回利上げしたところで日本企業の収益構造に大きな変化は無いだろうが、もし利上げを強行するのであれば日銀の姿勢は明確になる。今後、日本経済が減速しないか心配になるのだ。

利上げの慎重な判断を望むばかりである。

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青髭
青髭
会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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