【ドル円・日本株】FRB利下げ観測と各種株価の動向について
9月5日に米国雇用統計が発表され、雇用者数は市場予想を下回り、失業率は4.3%と悪化した。結果、今月開催のFOMCでの利下げ観測が強まりドル円は147円前半まで下落した。
今回はFRBの利下げ、日銀の利上げの可能性がそれぞれ高まる中で、各種株価の動向について考えていきたい。
【米雇用統計後の株式市場の反応】
雇用統計発表後の株式市場の動きは以下の通りである。
ちなみに、今回の雇用統計自体は7月雇用統計の労働市場の減速が一時的なものでは無いことを裏付けているものの、失業率は極端な上昇とはならず、前月比平均時給は予想を上回り、米国経済の大幅な後退を示すものでは無かった。その意味で過度な懸念は不要と思われる。
- NYダウ:0.48%下落
- S&P500:0.32%下落
- ナスダック:0.03%下落
- ラッセル2000:0.48%上昇
- SOX:1.65%上昇
- 日経平均株価先物:0.25%下落
- ドル円:0.72%下落
NYダウやS&P500が下落する中で、ラッセル2000やSOXは上昇している。これは今後、仮に利下げサイクルが再開した場合の市場の動きを示唆している可能性がある。
今後発表されるCPIや経済指標次第のところはあるが、仮に景気後退リスクが穏やかな状態で利下げが再開されるのであれば、株式市場にはプラスである。
特に小型株や半導体等のハイテク株は恩恵を受けやすい。
【日本株の動向】
日本株、日経平均株価についても考えておきたい。
FRBが利下げサイクルに突入しようとし、ECBは利下げサイクルを終えようとしている。その中で日銀は利上げ継続の構えを崩していない。過去の記事でも触れているが、年内に利上げがあってもおかしくは無いだろう。
FRBの利下げサイクルが開始し、日銀が利上げする場合、円高が進行する可能性が高い。円高は一般的には日経平均株価にはマイナスである。現に今回もドル円の下落と共に日経平均株価先物は下落している。特に輸出銘柄を中心に注意が必要だろう。
一方で考えなければならないのは、日銀が利上げしたとしても、欧米の水準まで引き上げることは困難で1%程度が上限と推定される点である。想定している中立金利については過去の日銀「主な意見」で言及されている。FRBはおろか、ECBの水準である2%台も想像することが難しい現状がある。
つまり、日銀が利上げしたとしても相対的には緩和的な政策金利が継続することになり、円高は進行したとしても穏やかなものに留まる可能性が高い。円高が日本株へ与える影響も穏やかになる可能性がある。
また、世界の市場PERを比較してみると、
- ナスダック:34
- NYダウ:24
- FT100:19.8
- DAX:18.1
- 日経平均:17.7
日本株は先進国の中では比較的割安である。日本や米国の経済が景気後退にならない限り、米国株式や世界的なリスク選好の動きが日本株へ波及してもおかしくは無いだろう。
【まとめ 〜銘柄選択が重要となる〜】
今回はFRBの利下げサイクルが再開され、日本が利上げした場合でもなお、日本の金融は比較的緩和的な水準となる可能性が高い。
円高が進行した場合は、内需株や円高メリット株が有利になりやすい。また、米国同様にハイテク関連や小型株も恩恵を受ける可能性がある。
特に小型株は利上げ局面では敬遠されやすいが、FRBが利下げ再開する場合は日銀が必要以上に利上げを迫られる可能性が低くなる為、日本においても株価面で若干有利になるかもしれない。
いずれにしても、今後の日米の中央銀行の動向とCPI、各種経済統計に要注目である。