【ドル円・日本株】米国・イスラエルによるイラン攻撃とその影響について
2月28日に米国とイスラエルはイランへの攻撃を開始した。
イランの最高指導者を攻撃し、体制転換を狙ったものと思われる。
国際社会の反応と今後の流れに備えて、株式市場への影響を考えていきたい。
【米国・イスラエルによるイラン攻撃の概要】
各種報道による攻撃内容の概要を確認しておこう。
- 2月28日より開始し、今後数日(4〜5日)継続する予定。
- イラン最高指導者ハメネイ氏をはじめ、複数名の最高幹部が攻撃された。
- 攻撃はイランの体制転換を意図したもの。
- イラン側は中東各国に反撃。(恐らく米軍基地やイスラエルに対するもの)
- 米国とイスラエルは数ヶ月前から準備していた。
ベネズエラ攻撃の時もそうだが、米国は数ヶ月前から準備していた可能性が高い。
そうなると、イラン側は交渉の段階で余程譲歩しない限り今回の攻撃は避けられなかったことになる。
後述する各国の反応を見ると、少なくとも米国の同盟国には何らかの攻撃に関する示唆が与えられ、備えていた可能性が高い。
【各国の反応】
各国の反応を確認しておこう。
- イラン:中東各国に反撃(恐らく米軍基地やイスラエルを標的にしたもの)。ホルムズ海峡封鎖の意図を示す。
- 欧州(英仏独):米国とイスラエルの攻撃には言及せず。イランの反撃を批判。イランの体制転換の必要性に言及。
- カナダ・豪州:米国を支持。
- サウジアラビア等の中東各国:イランの反撃を批判。原油増産を準備。
- ロシア:米国を批判。ウクライナ戦争で疲弊し影響力を行使できず。
- 中国:米国を批判。
- トルコ:米国を批判。
- 日本:イランの核開発を非難。
国際社会は理不尽で残酷なものである。米国とイスラエルがイランを先制攻撃したにも関わらず、イランの反撃に対しては中東各国と欧州各国は「主権侵害」等と言及し批判している。
トランプ大統領は攻撃後、NATO、イギリス、トルコ等と電話会談している。今後国際社会の主要国で元々米国と対立していた国を除いて、正面から米国に敵対する国は出てこないだろう。
これまでの流れから、仮に本気でイランがホルムズ海峡封鎖を意図した場合、主要国は結束して自国の権益を守るためにイラン軍の排除に動く可能性がある。
【株式市場への影響】
株式市場はリスク回避の動きが広がる可能性がある。ただし、イランはそもそも経済規模がさほど大きくなく、経済制裁によって経済活動そのものが抑制されてきた。主要な原油輸出国だが、経済制裁によってその価格は大幅にディスカウントされてきた。イラン経済そのものがもたらす世界への影響は限定的である。
問題は原油輸出の90%が通過するホルムズ海峡の封鎖である。市場は今回の攻撃を想定し年始から17%近く原油価格を上昇させてきたが、原油価格は天然ガス価格は高騰することだろう。
資源価格の高騰については、イラン側の動きが重要になる。ホルムズ海峡を封鎖すると権益を持つ国際社会の主要国から、容赦ない圧力と攻撃に晒される可能性が高い。
仮に封鎖したとしても、既に米国・イスラエルとイランとの戦力差が圧倒的であり、長期間封鎖を維持することは困難だろう。そもそも米国側もホルムズ海峡封鎖は想定内であり、何らかの軍事的手立てを講じてくる可能性がある。
米国・イスラエル(とその同盟国)とイランとの間の戦力差は圧倒的であり、今回の攻撃の顛末が見えてくれば、市場は冷静さを直ぐに取り戻す可能性もある。
日本は原油や天然ガスの輸入大国なので、日本株は総じてネガティブな影響を受けることだろう。ただし、影響が短期的だと市場も理解していると思われるので、米国が地上部隊を派遣する等影響長期化の兆しが生じない限り、現在のブル市場が転換する可能性は低いだろう。
【まとめ】
市場への影響度は、今回の攻撃の推移次第である。ただし、米国・イスラエルとイランの戦力差、米国が長期化を望んでいない可能性があることを考えると、長期化する懸念はそこまで大きくないのではないか。
しばらくの間、鉱業株や資源株は恩恵を受ける可能性が高い。航空、電力、内需株等はネガティブな影響を受けやすいだろう。AI関連等は無風だが、市場全体の流れによる影響は避けられないだろう。
今後も国際情勢は目まぐるしく変化していくことが考えられる。冷静に注視していきたい。
※補足:国際秩序の転換について
米国による今回のイラン攻撃、その前のベネズエラ攻撃について、ロシアや中国が「国際法違反」を持ち出して批判し、日本や欧州等の主要各国は国際法の尊重を呼びかけながらも米国への表立った批判は避けている状況が続いている。
これまでロシアや中国、イランは国際法を無視した行動をとり、欧米や日本はそれを非難していた。欧米諸国は国際法や国際秩序を遵守するか或いは最大限配慮した姿を見せるよう、自らの行動を抑制していた。国際法や今までの国際秩序が正しいものかどうかは別にして、少なくとも相対的に上記の状況は米国の敵対国にとって、都合の良い状況だったと言えるだろう。
一連の流れの最終目標は中国(米国覇権への挑戦国)である可能性が高い。ウクライナ戦争もその流れの一つかは不明(少なくともロシア経済と軍事力は甚大な影響を受けている)だが、中国の友好国は軒並み排除されつつある。ターニングポイントが何処だったのかも不明だが、一帯一路やAIIBの設立が米国を強く刺激した可能性はあるだろう。
日本もその流れの中にいる主要プレイヤーであることを自覚し、個人投資家は様々なケースを想定しておく必要に迫られている、歴史の大きな流れの中にいると考えておくべきだろう。
