【ドル円・日本株】FRB新議長と日本株への影響について
トランプ大統領は30日、次期FRB議長にウォーシュ氏を指名した。ウォーシュ氏は元FRB理事であり、過去に著名投資家のスタンリー・ドラッケンミラー氏と共に働いたこともあり、ウォール街にも精通しているという。
ウォーシュ氏はトランプ氏とも関係が近く、FRBの独立性について懸念が生じる可能性もあるが、候補者の中では最もタカ派的な発言をしてきた人物として知られている。今回のFRB新議長は誰が就任してもトランプ氏の影響力は避けられないので、その意味で最もタカ派的な人選と言えるだろう。
今回はウォーシュ新議長就任後の米国利下げと、それに伴うドル円や日本株への影響を考えていきたい。
【ウォーシュ氏のバランスシート縮小理論と利下げ】
ウォーシュ氏はFRBがバランスシートを縮小することで、利下げが可能だとしている。
中央銀行のバランスシート縮小は実質的には金融引き締め的な作用をもたらすので、単純に縮小分はインフレ懸念があっても利下げ可能だということだろう。
この案について既に様々意見が出ているが、株価への影響を考えていきたい。
- FRBのバランスシートの大部分は米国債とMBSである。バランスシートの縮小は長期金利上昇、株価へ下押し圧力、住宅ローン金利を押し上げて住宅価格の下落を押し下げる可能性はある。
- 利下げをセットに行うのであれば、上記の影響は限定的かもしれない。利下げは住宅ローン以外にも広範に影響が及ぶので、株価には最終的にはプラスの可能性がある。
- 長期金利上昇に伴い、ドル円は上昇する可能性が高い(ただし、利下げにより一定程度相殺されることだろう)。その場合、米国株も利下げにより上昇するのであれば、日本株にはプラスである。
ウォーシュ氏のバランスシート縮小論は他の候補者には無かった論理であり、当然バランスシートを縮小せず利下げを実施するのが最もハト派的な事なので、利下げ実施するにしてもタカ派的だと言えるだろう。実際に縮小させるのであれば、そのスピードが重要になってくる。
FRBは合議制なので、他の理事の動向も重要である。パウエル議長の後任の理事が同時期に送り込まれることもあり、最終的には株式市場(トランプ政権が重視)に配慮したバランスの取れた政策になる可能性が高いだろう。
【円安は継続する可能性】
FRBがややタカ派的になるのであれば、現在の円安水準は継続する可能性が高い。FRBの利下げとの綱引きになるだろう。
日本の直近12月のCPIは前年比2.1%であった。CPI高止まりの最大要因であった生鮮食品の物価上昇が落ち着いてきている。このままCPI上昇が穏やかになるのであれば、日本の利上げペースは穏やかになるので、その点も円安が継続しやすい状況だと言える。
ただし、日本は今年も大幅な賃上げが予想されており、このままCPIが落ち着いてくるのであれば実質賃金プラスもそう遠くない未来に実現することだろう。既に日米金利差では説明できない水準まで円安は進んでおり、今後日本経済強さ(利上げ余地の拡大)が意識された場合は円高が進む可能性もある。
【まとめ 〜日本株に有利な展開が続く可能性〜】
米国は主要国の中でも高金利であり、利下げ余地がある中でバランスシートの縮小を伴うとは言えFRBが利下げするのであれば、株式市場にはプラスだろう。ただし、ウォーシュ氏の手腕はまだ未知数なので、タカ派としての波乱要因があるかもしれず注意が必要である。
日本のCPIは落ち着き始めており、このままの水準で進むのであれば財政拡大余地が広がり、高市政権の「責任ある積極財政」の政策実現性が高まることになる。実質賃金プラスも見えており、日本経済は内需を中心に成長する可能性がある。そうなれば、多少の為替影響があったとしても日本企業の業績にはプラスである。その上、ウォーシュ氏のタカ派的な政策により米国株が不人気になった場合は、より日本株に恩恵があるかもしれない。
今回はウォーシュ氏新議長指名について簡単にまとめたが、日本株投資家にとって最も注目すべき直近のイベントは衆院選である。今後も市場の動向やニュースに注視していきたい。
