【日本株】日経平均株価の底値を考える
先週までの米国経済指標ラッシュを終え、また海外投資家の夏季休暇が明けて、明日から市場が本格的に動き出す。
特に注目度の高かった米国雇用統計の結果、肝心の失業率は市場予想通りでやや改善した。しかし市場は反応し、NYダウ1%下落、ドル円は1%下落し142円台で推移し、日経平均先物は3.4%下落となっている。原油価格も下落で反応した。思いの外、米国経済の景気後退が意識されたようだ。
日経平均株価は7月11日の42224円をピークに下落を続け9月6日の終値は36391円であった。今回は既にピークから14%程度調整している日経平均が、今後どの程度まで下げ幅があるのか考えていく。
(底値が本当に分かれば苦労はしない。あくまでも個人的なシナリオ考察である)
【ドル円の推移から考える】
ドル円と日経平均の相関係数は9月6日時点で0.58であり、以前はもう少し強い相関関係があったが、現在は弱い相関関係にある。
しかしながらドル円も7月10日に161円まで値上がりし、それをピークに下落を続けている。また、日本の大企業にはグローバル企業や円安メリット株が数多く存在する。現在は弱い相関関係しかないとしても、ドル円のトレンドを考慮することで大まかな傾向を掴むことは可能だろう。以下の記事でも触れているが、筆者は長期円高トレンドが形成されつつあると考えており、その場合のドル円の下げ幅は20%以上と予想している。
仮に20%程度の下げ幅だった場合、ドル円130円前後まで下落することになるが、その場合は現在の水準からまだ10%前後の下げ幅を残している。残り10%下げ幅と考えるならば、底値は32751円付近となる。もしピークの42000円から20%下落なのであれば33600円付近となる。
【NYダウの推移とPERで考える】
過去30日間のNYダウと日経平均の相関関係は0.88とこちらは強い相関関係である。ただし、過去全く相関関係が無くなった時期もあったので、あくまでも現在の話ではあるのだが。
NYダウの平均PERは現在25なので、過去10年の平均値約18から比べてかなり高めになっている。9月雇用統計を受けてNYダウは下落で反応しているが、今後ソフトランディング期待が消えて景気後退を市場は強く意識した結果、短期的にはこのまま下落を続ける可能性はある。
仮にNYダウの平均PERが18程度まで下落するのであれば、現在から38%程度の下落幅を残している。日経平均が同程度の下落幅ならば26000円になる。まさに大暴落となる。ただ、筆者はハードランディングを予想しているが、ここまでの下落は予想していない。米国経済は確かに家計に余力が無い状況だが、大規模な解雇が起きておらず、テクニカルリセッションにも至っていない。FRBの利下げによって企業業績が持ち堪える可能性がある。
また、日本政府と日銀の金融政策転換の観点から考えてみる。第2次安倍政権発足時の日経平均の平均PERは12程度であった。大規模金融緩和の巻き戻しを最大限考慮すると日経平均は27000円前後まで下落することになる。上記の26000円と大差ない数字となったが、この数字は悲観シナリオと言って良いだろう。この観点については以下の記事でも触れている。
【まとめ〜次の焦点は第二四半期決算へ〜】
今回はあくまで参考程度ではあるが、日経平均の底値について2パターン考えてみた。現実には当てにはならず、その時々の各国の政治経済や市場の状況に大きく左右されることだろう。ただ、個人投資家としてある程度のシナリオは想定しておく必要はある。
さて、9月の米国雇用統計を通過し、次月以降も雇用統計が重要であることは変わりはない。一方でFRBによる利下げがほぼ決定事項となっていたり日銀も利上げの意思を示す等、各国中央銀行のスタンスや経済状況が明らかになりつつある現在、次の焦点は日米共に第二四半期決算だと考える。
何故なら株価は基本的な話ではあるが、株価=PER✖️EPS だからである。
これから米国の景気後退が強く意識されたとして、実際に大不況になるかは企業業績に左右される。各種経済指標は求人数の減少と労働市場の緩和を示唆しているが大規模な解雇(失業)はまだ発生していない。経済や企業業績の期待値が下がったとしても、実際の業績が堅調ならば株価は持ち直す(あるいは持ち堪える)可能性が高い。
日本においても、8月以降の円高によって、今までの円安による業績の押し上げ消失と円高による恩恵が第二四半期決算からある程度反映されてくるはずである。その時の為替にもよるが、業績見通しを修正する企業も出てくるのではないか。為替の影響を考えるならば、やはり内需株を中心に円高メリット株の見通しが明るいと言える。
第二四半期決算の時期まではまだ2ヶ月程度時間がある。それまでに数多くのイベントがあるので、随時チェックして考察していく予定である。