【ドル円・日本株】2026年は円高の年になるのか
現在、10年物国債の日米金利差は2%程度まで縮小している。過去の水準に照らせばドル円は120円〜130円まで下落してもおかしくない水準である。
にも関わらず、ドル円は156円台と高止まりしている。
今回は、現在の円安水準がこのまま続くのか、或いは現状よりも円安、円高に振れるのか、考えていきたい。
【現在の円安は誰も明確な説明ができない状況】
前述の通り、現在の日米金利差は過去の水準から考えれば120円〜130円程度まで下落してもおかしく無い水準である。にも関わらず円安水準に留まっている理由は何なのか。
多くのエコノミスト、専門家等が様々な言説を述べているが、誰も明確な根拠を示せていない。貿易赤字、財政規律の悪化、インフレリスク等が挙げられるが、果たして日米金利差を覆す程の根拠になり得るのか。
過去のほとんどの期間、日米金利差はドル円と相関してきた。金利はそれぞれの国のインフレ、経済状況、ファンダメンタルズを反映している。現在のところ、日米金利差とドル円は乖離しているが、いずれは回帰していくことだろう。
【金利のある世界のコストに日本国民は耐えられるか】
先進国の中でも、日本国民ほど金利のある世界に耐性のない国民はいないだろう。何せ約30年に渡り、金利を無視した世界で生活してきたのである。世の中の経済システムの多くは金利が無い前提で作られてきた。
多くのローン、特に住宅ローンは大きな影響を受ける。既に50年ローンで家を購入する報道を見かける。住宅購入に大きなレバレッジをかけている状況では、金利収入よりもローンの利払いの方が大きくなり、非常に脆弱である。
実質賃金のマイナスが続いてる現状では、尚更家計の金利上昇への耐性は低い状況と言える。
【世論は円安是正を望む】
各種世論調査を確認すると、インフレ是正の為に、円安を求める声が一定数存在する。(円安がインフレの原因かどうかは別として)
高市政権もこの世論を無視することは難しく、恐らく現在の高支持率を維持する為にも円安対策は講じてくる可能性が高い。それは財政規律へのメッセージかもしれないし、利上げの容認かもしれない。
【まとめ 〜いずれ円安は収束するが、その道のりは険しくなるだろう〜】
過去の日米金利差とドル円の動きを見るに、いずれ金利差にドル円は収斂し円安が収まる可能性は高い。
ただし、それまでに様々な思惑によって、ドル円は乱高下する可能性がある。現に投機筋は既に円買いポジションを解消し、どちらにも取れる状況である。
ドル円と日米金利差が乖離している状況について、一つの見方として、市場が日米金利差の拡大を予想している可能性はあるだろう。日本の利上げ余地も米国の利下げ余地もあまり無いという予想である。
米国の利下げ余地については来年1〜2回の利下げが織り込まれているが、インフレ再燃リスクもあり、それ以上は難しいかもしれない。ただし、直近の雇用統計での失業率が4.6%と上昇傾向にあり、リセッションのリスクが織り込まれる事態になれば思いの外利下げが実施される可能性があることに留意が必要だろう。
また、来年は中間選挙を予定しており、トランプ政権は積極的な経済対策を講じてくる可能性が高いだろう。いくつか変数はあるが、仮に米国企業が苦境に陥るのであれば、トランプ関税の影響を実質的に軽減する処置を講じる可能性は大いにある。来年が終わればトランプ政権の終わりが意識され、レームダック化が進むので、議会等からその様な声が高まってもおかしくは無いだろう。
日本の利上げ余地については上述の通り、家計の耐性は高くは無いだろう。ただし、日本の金融資産全体で考えれば預金の利払いによって、利上げはプラスになる。その背景と円安是正を求める世論に押され、複数回の利上げを高市政権が容認する可能性はあるだろう。
来年も日米の経済状況、為替状況に注視していきたい。
