【日本株】TOKYO BASE中間期連結決算について
9月16日にTOKYOBASEの中間期連結決算が発表された。
この銘柄は今年の注目銘柄として年始に挙げており、実際に株価は上昇していたが、上半期決算の発表後に株価は急落している。
今回は決算内容を確認し、今後の投資判断について考えていきたい。
【決算概要】
決算の概要は以下の通りである。
- 売上高:102.93億円
- 営業利益:7.95億円
- 経常利益:6.83億円
全て前期を大幅に上回る着地となった。尚、事前に決算予想を考えいたが、概ね合致した数字であった(実際には、あと営利1億円程度の上振れは想定していた)。また、通期見通しと中期経営計画の上昇修正が発表された。
決算発表の翌営業日から株価は急落し、現在まで15%前後下落している。
既にコンセンサスの期待値も上昇している中で、それを上回る上昇修正では無かったので出尽くし感があったこと、4月以降急激に株価が上昇していた為利益確定売り、TOKYOBASEのブランド力はまだ浸透しておらず中長期的な見通しに疑念が発生した等、株価下落の要因は様々考えられるが、明確な理由は不明である。
【決算内容と今後】
上昇修正の理由が一時的なものでは無く、本業の伸長によるものなので、決算自体は悪くなく今後に期待が持てる内容である。
それぞれ今後のポジティブ面とネガティブ面を考えてみる。
<ポジティブ面>
- 業績は好調で国内外に出店を続けており、利益が積み上がっている状況。
- 中国本土単体の半期累計(営利)はマイナス6,200万円だったが、第一四半期とほぼ数字に変化が無く、第二四半期単独では赤字がほとんど無かったか黒字だった可能性がある。
- 今年の冬は例年並みの寒さの予測。
- インバウンド率がさらに上昇したが、政府は訪日外国人を2030年までに年間6,000万人まで増やす計画を打ち出しており、国策と事業内容の親和性が高い。
- 鬼滅の刃が世界的にヒットする等、日本の文化やコンテンツの国際的な人気が年々高まっている。
- 東証プライム市場残留を確実にする為に、秋以降に何らかの株主対策を実施する可能性がある。
<ネガティブ面>
- ブランドがまだ浸透しておらず、成長戦略に確実性が無く、中期経営計画を信じきれない状況。
- 今後円高に傾く可能性がある。日本製を武器にしており、インバウンドが成長の柱になっているので、円高だとネガティブな影響を受ける可能性がある。ただし、確実に円高になるわけではなく、円高になったとしても穏やかに進む可能性が高いため、為替の影響は軽微かもしれない。
- 11月以降の月次は昨年好調だった分、数字が重くなる可能性が高い。
- 積極的な出店を続けているが、ブランド力の向上や商品が今後も継続的に消費者に受け入れられるかについて、不確実性が高い。
今回の決算は業績好調による上昇修正を伴い、織り込み済みが多分にあったにせよ、今後の成長性に疑念が生じる内容では無かった。その点、過度な懸念は不要だろう。
一方で、会社が発表した中期経営計画を信じるにはまだ材料不足である。織り込む為には製品が幅広く消費者に受け入れられた上で知名度が向上し、今後の決算と月次で実現可能性が高いことを示す必要があるだろう。
ちなみに、もし本当に中期経営計画が会社発表通りに着地した場合、将来的にはEPSは50〜60円となり、株価が3桁を超えてもおかしく無い上、株主還元も期待できる。
短期的には下落局面及び調整局面となっているが、事業内容や成長性に疑義が生じているわけではない。一方で、過去の実績から確実性があるとまでは言えず、まずは直近の月次売上高を確認しながら、今回発表の上昇修正の正確性を確認していく展開になっていくことだろう。
【まとめ】
会社やコンセンサスが予想するEPS27.6を東証プライムの平均PERでかけると、理論上の株価は490円前後となる。(まだまだ成長が期待できる銘柄なので、PERは20前後で考えても良いかもしれない。)
ただし、過去の業績は決して安定しておらず、株価も乱高下してきた歴史がある。業績に疑念が生じる事態になった場合は、株価の暴落が考えられる銘柄である。
投資判断は慎重を期す必要がかなり高いと言えるだろう。一方で、中長期的に会社計画に沿った成長を続けるのであれば、株価的にかなり期待できる銘柄でもある。
今後の実績、成長性に注目である。
※10月5日追記
何と驚いたことに高市氏が自民党総裁選に勝利し、次期首相となることが決まった。
自民党は少数与党なので、どこまで高市氏の政策が実行できるかは不透明だが、少なくとも現政権から大幅な政策転換になりそうである。
TOKYO BASEは高市氏の政策に直接的な恩恵は皆無である。一方で、積極財政と金融緩和維持(円安)という間接的な影響により、恩恵を受ける可能性は高い。
直接的な恩恵は無いため現在の株価下落トレンドを覆すことまでは難しいだろうが、中長期的には確かな恩恵があり、業績を後押しすることだろう。店舗拡大等、積極的に事業に投資しているフェイズである点でも金融緩和維持は有利である。少なくとも総裁選候補者の中では高市氏が最も恩恵をもたらす可能性が高かった為、ポジティブサプライズとなる。