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【ドル円・日本株】日本経済・日経平均株価・トランプ関税

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米国のトランプ大統領は7月7日に、日本に対する関税を25%とすると公表した。従来発言していた関税率は30〜35%だったので、その数字からは後退している。ちなみに、関税率公表後、日経平均株価は平穏を保っている。

それでも例えば自動車については現状の関税25%と合わせると50%である。
今回はトランプ関税の情報を整理し日本経済や株価への影響を考えていきたい。また、特に関税の影響を受けると見なされている自動車各社の状況も整理しておきたい。

【ドル円について】

ドル円は4月に141円台まで円高に振れたが、その後は下値を切り上げつつ上昇を続けている。

トランプ政権の相互関税が発表されるまでは、日銀は追加利上げを念頭にしていた。
トランプ関税が8月以降に25%となった場合、自動車は50%の関税となる。以前の記事でも考察しているが、筆者の見立てだと概ね0.5%前後GDPを押し下げると予想している。仮に0.5%GDPが押し下げられても日本はマイナス成長には至らない計算となる。

それでも日銀はトランプ関税の交渉が終えて、その影響が判明するまでは追加利上げは停止することだろう。少なくとも、直近の日銀「主な意見」だとその様に読み取れる。トランプ政権は8月1日に発動すると発表しているが、実際にはもっと引き延ばされるかもしれず、その行方は不透明である。(もしかすると参院選後に交渉が加速する可能性はある)

ヘッジファンドは今年に入って積み増していた円のロングポジションを徐々に解消しつつある。日銀が当面利上げしないことを市場が見透かして、尚且つ需給も緩んだ場合はさらに円安が進行する可能性が高い。

一方で考えなけれいけないのは、日本のCPIは昨年12月以降3%台後半と高止まりしていることである。米国、EUや韓国は既に2%で安定していることを考えれば、日本が複合的な要因により物価高が続いていることになる。そして、その要因の一つは円安と低金利なので、このまま実質賃金マイナスの状況が続くのであれば、日銀はどこかで利上げするタイミングを伺うことになる。また、米国等他の主要国が利下げする可能性もある。

現在の状況が続くのであれば円安が進行しやすいが、トランプ関税の問題が解消した場合は円高が意識されることになる。

【日経平均株価について】

トランプ大統領が日本への相互関税を示唆した後も日経平均株価は大きく動揺なかった。既に4月に発表されており耐性があった上、仮に25%となってもマイナス成長にならないことや、参院選後の交渉加速を期待して冷静に受け止めたと言うことだろう。

これから決算シーズンを迎えるので個別銘柄については注意を要するだろう。

【自動車銘柄について考える】

トランプ関税による影響を受ける代表的な銘柄がトヨタをはじめとする自動車各社である。現在逆境にあるが、もし関税交渉が上手く纏まれば株価は反発することが予想される。自動車部品の多くが輸入に頼っているため、フォードやGMなどの米国大手メーカーもトランプ関税に大きな影響を受ける。

自動車各社の営業利益率を確認しておこう。

  • GM:6.8%
  • フォード:2.8%
  • トヨタ:10%
  • ホンダ:5.6%
  • 日産:0.6%
  • マツダ:3.7%

トヨタが際立って高い利益率を誇っている。自動車各社は大小あるにせよトランプ関税の影響を受ける。今後値上げを余儀なくされ、販売が落ち込む可能性がある。

その中でもトヨタは大幅値上げをしなくても黒字を確保する体制を作り上げているので、相対的に有利な立場にあるだろう。元々品質が良いため売れていたことを加味すると、関税の影響が長引けばトヨタが競争に勝利する可能性が高まる。

関税に不利な業界であっても個別銘柄への影響度には濃淡があるので、投資判断は慎重に行う必要があるだろう。

【まとめ】

ドル円、日本経済、株価も現在のところ最も注目されるのは関税である。
その行方によって様々なシナリオが考えられる。

関税の影響を受けにくい内需系企業は有利だが、上述の通り、関税影響を受けるにせよ相対的に有利になる企業もある。

また、いずれトランプ関税の問題は収束していく。その後のシナリオにも備えておくべきだろう。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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