【原油安・円高メリット】スカイマークの個人的な2025年3月期決算予想
先月下旬から多くの企業の決算シーズンに入っている。以前より注目しているスカイマークも今月に2025年3月期本決算を迎える。
今回も前回同様、原油、ドル円、旅客の各種市況から、スカイマークの個人的な業績予想を考えてみる。ちなみに3Q 決算は筆者の予想を超える厳しい決算内容であった。
いつも通り、営業利益を予想し、その上で為替差損益についても考慮してみる。
【営業利益について】
スカイマークの営業収益はほぼ航空事業収入だが、付帯事業収入もわずかに存在する。概ね6億円〜8億円で推移している。3Qは6.8億円だった。前年の数字も考慮して、今期は6.7億円と見積もる。
続いて航空事業収入であるが、こちらは
- 航空事業収入=単価✖️有償旅客数(人)
で計算できる。(有償旅客数は毎月IRで公表されている)
4Qの有償旅客数は1945353人(前年比99.7%)である。
続いて、単価についてだが、3Qではほとんど値上げ出来ていない。前年比300円程度の増加である。また、先行するANAとJALの本決算でも、国内線の単価は厳しい状況である。この傾向を考慮して前年同様の12916円とする。
計算すると、事業収入は約260億円となる。
続いて、営業費用を考えていく。
営業費用は燃油費、機材等のリース料、整備費用、人件費、空港使用料、等である。
これらの多くは為替と原油価格に左右される。円高かつ原油安だと営業費用を抑えることができる。
為替について、3Qのドル円は3Q比で0.3%上昇している。また、ドバイ原油(円換算)は3%上昇している。これを各費用に当てはめ、さらに各費用のベースを3Qを元に計算すると、営業費用は約280億円である。
結論、単純計算で4Qは20億円の営業赤字である。営業利益は筆者の個人的な予想と、2Q時点での会社予想を考慮して、20億円〜10億円程度の赤字と予想される。前期は4Qで重整備費用を積み増していたが、その増減によっても大きな影響を受ける。
【為替差損益】
期末時点でドル円は149.9円であった。
為替変動幅で単純計算してみると、約12億円の為替差益が生じる計算となる。
為替差益は3Qと比較して円高に傾いているため、若干減ることになるので注意を要する。
【まとめ】
筆者は本決算で営業利益マイナス5億円〜5億円、当期利益マイナス6億円〜6億円と予想する。はっきり言って極めて厳しい数字である。
重整備費用を大幅に削減できていた場合は一転して大幅黒字も考えられるが、3Q時点での会社下方修正を考えると、楽観的な予想は避けるべきだろう。
焦点は26年3月期の通期予想に移る。既に為替と原油価格は25年3月期期初予想の水準まで低下してきている。特に原油安が続いている。
26年3月期について、ANAはドル円150円、ドバイ原油75ドル、JALはドル円145円、ドバイ原油75ドルでそれぞれ計画を立てている。スカイマークも同水準で計画を立てた場合は、重整備費用の減少も考慮して恐らくEPS60〜70円前後にはなりそうである。国際線再参入の報道も出ている。そう考えると底打ち感から、現在の株価水準は割安である。
一方で、世界的なインフレにより、営業費用のベースは高くなっている。また、減配になる可能性もある。国際線再参入の話があるにせよ、将来的な見通しは尚、不透明である。国際線も定期便はまだ先なので、業績への大幅な寄与は考えにくい。
現在の株価水準が割安なのは確かだが、投資判断は本決算を終えてからでも遅くは無いだろう。
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