経済金融

良品計画の今後を考える、中期計画の実現可能性について

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良品計画といえば、日本国内であれば誰もが知っている「無印良品」の運営会社である。良品計画の株価は年初から23%程度上昇しており、日経平均にアウトパフォームしている。

良品計画は小売業であり、国内に基盤を持つので円高時には有利に働く企業だ。近年は為替ヘッジを進めており、海外展開を推進しているので為替の影響を受けにくくなっているが一応円高メリット株と言えるだろう。円高が意識される中、投資妙味がある銘柄なのか検討していく。

既に株価は上昇しているが、それでもコロナ禍前までの水準には戻っていない。重要なのは今後であり特に中期経営計画の実現可能性は重要だ。

【中期経営計画について】

端的に言えば国内外で出店を進め、生活全般をコーディネートできる商品開発や販売網を強化し、営業利益を2030年に2021年比で10倍にする計画だ。

数字目標は、

  • 2024年8月末で売上高7000億円、営業利益750億円、1300店舗
  • 2030年8月末で売上高3兆円、営業利益4500億円、2500店舗

である。

進捗を見てみると、直近の2024年8月期第三四半期決算で2024年8月期の業績予想を発表しておりそれによると

  • 売上高6600億円、営業利益530億円、1275店舗

である。

進捗は売上高は88%、営業利益は70%程度だ。店舗数は第三四半期時点で1275店舗なので店舗数は概ね計画通りと言えるだろう。

【中期計画の実現可能性と株価について】

中期計画を達成した場合は、一株あたりの純利益が約10倍になるので理論上2030年頃には2021年水準から10倍の株価になるはずである。(23000円くらい)

ただし、進捗を考えると難しいだろう。中期計画通り利益率が向上した場合はこの限りではない。ちなみに目標の営業利益率15%に対し現在は8.6%である。

現在の進捗をそのまま当てはめると、2030年頃に売上高1.2兆円、営業利益1000億円程度になりそうである。その場合、株価2倍程度は望めそうだ。

利益の伸びは国内が多く、店舗の約半数は日本に存在する。その為、現在の円安が落ち着けばもう少し利益の上乗せが期待できそうだ。

【中国大陸事業(東アジア事業)のリスクについて】

良品計画は中国に積極的に出店しており、中国経済の落ち込みが報道されている昨今、日本より急速に少子高齢化が進む中国での事業展開がリスクと考えられがちだが、数字上はそうでもない。

実は営業利益率は日本を含めどのエリアよりも高い。既存店売上の前年割れになってはいるものの、そもそも出店しておけばしっかり利益が出る構造のようだ。その為、ユニクロの900店舗と比較しても500店舗程度の出店数なので、まだまだ出店余地があると考えて良さそうだ。

良品計画を含む日本の小売業は長いデフレ下でも成長してきた歴史がある。今後中国経済がデフレに進むとしても、それが成長を妨げるものにはならないかもしれない。

【まとめ】

中長期に渡り成長が期待できそうである。これから円高になることを考えるとまだまだ投資妙味がありそうだ。

今年の秋での日経平均採用銘柄への採用を予想する報道も出ており、本当に採用にされれば足元の株価を下支えしそうだ。

注意すべきは良品計画が提供するサービス、商品の品質である。一時期業績不振に陥り商品開発を見直して業績が回復した経緯があるため、定期的なチェックは必要だろう。今後も注視していきたい。

円高シナリオについては下記記事も参照されたい。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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