【日本株・ドル円】株式、為替、2025年の予想について
2024年もあと数日を残すところである。東証は12月30日が今年の最終取引日である。今回は2024年を振り返り、2025年に向けて世界の株式や為替の戦略を考えておく機会にしたい。特に筆者は夏以降円高を予想していたが、その予想は今のところ外れている。この辺りも改めて考察し、来年に繋げていきたいと思う。
【日経平均株価と日本経済】
日経平均株価と日本経済は2025年も堅調に推移すると予想する。
日経平均株価は年始の33288円から現在の40281円まで約20%上昇している。NYダウをアウトパフォームした。2024年は160円台までの歴史的な円安に見舞われ、物価高の結果実質賃金のマイナスが続いていた。一方で2年連続で大幅な名目賃金プラスがあり、2年以上連続していた実質賃金マイナスからようやく脱却した年でもある。
2025年も厚労省ベースで5%に迫る賃上げが予想され、他方でCPIは2%台で推移しており、直近の実質賃金(10月)が-0.4%だったことを考えれば、来年は実質賃金プラスが定着するのではないか。来年1月から復活する電気代とガス代の政府補助もこの流れを支援することだろう。
日本のGDPの過半は個人消費が占めるため、実質賃金プラスは日本経済にとって重要である。OECDの最新の経済見通し(12月4日付け)だと日本のGDP成長率は2024年は−0.3%、2025年は+1.5%である。
日銀の追加利上げについては、トランプ政権の政策が明確になった段階で、現在の水準の円安が続き、CPI2%以上が継続し尚且つ実質賃金プラスの見通しが立てば実行される可能性が高い。やはり公表されている日銀の「主な意見」を参考にすれば、2025年中に1%までの利上げは覚悟しておく必要がある。
日本経済が堅調で、それを背景に利上げが行われるのあれば過度に円安になるとは考えにくい。ドル円で考えれば、2025年は2024年に比較して、GDP成長率の差も政策金利差も縮小が予想される。
日経平均株価は今年20%近く上昇したものの、PERは16台で推移しており過去と比較しても高水準と言えず、NYダウと比較して低いためまだまだ上昇余地はありそうだ。日本経済が堅調であれば、日本企業のEPSも堅調に推移しそうである。
追加利上げが実施されたとしても、他の主要国に比べればまだ緩和的な水準である。日本株にネガティブな影響はさほど無いだろう。
【NYダウと米国経済】
米国経済は2025年も堅調に推移すると予想するが、NYダウには不安要素がある。
NYダウは今年過去最高値を更新した。ドルインデックスも過去10年で見れば最高水準である。米国のGDP成長率はOECDによると、2024年は+2.8%、2025年は+2.4%の予想である。
2025年は今年よりも若干経済成長率が鈍るが、それで主要先進国の中では最高水準である。トランプ政権による減税等様々な政策がこれを後押しする可能性が高い。
現在のところ、GDP成長率も失業率もCPIも堅調で不安要素はあまり無い。唯一懸念されるのはインフレ再燃リスクだろう。FRBは直近のFOMCで2025年の利下げペース予想を年2回まで減らしている。
NYダウのPERは現在27と過去10年を遡ってもやや高水準である。NYダウ自体、12月4日に過去最高値を付けてから下落基調である。これからインフレ再燃をどの程度織り込むかにもよるが、利下げペースがさらに減少したり、利上げ再開となれば相場が崩れる可能性がある。
米国企業の業績は好調な米国経済を背景に堅調に推移することが予想されるので、過度な懸念は不要かもしれない。一方で、日本に比べれば米国経済は資産効果が大きいので、株式市場が崩れた際の影響は大きくなことには注意が必要である。
【中国経済】
中国経済は少子高齢化が進み、不動産市況関連の問題から2025年も低迷が予想される。OECDの最新予想だと、GDP成長率は2024年は+4.9%、2025年は+4.7%である。2025年も5%未満の経済成長と減速が続きそうである。まだ未知数だが、トランプ政権による中国対策の影響も不安要素である。
中国経済のブレーキが続くということは、原油市場も思わしくない展開が続きそうである。
中国に進出している企業の業績には注意を払う必要がある。他方で、中国が直面している不動産不況、少子高齢化、デフレ、低成長については過去日本が辿ってきた道である。似たような環境下で成長を続けていた企業については、さほど懸念を抱く必要は無いかもしれない。
【まとめ 〜日本株は堅調、ドル円は米国経済次第だが穏やかな円高を予想〜】
上記をまとめると、相対的に日本経済は強さを維持するため、日本株は堅調に推移すると予想する。恐らくNYダウをアウトパフォームするのではないか。
同様の理由で2025年はやや円高に傾くと予想する。140円台の突入も十分考えられるだろう。主要国の中で唯一利上げが予想されている点も大きい。ただし、米国がインフレ再燃した場合はこの限りではない。米国経済が堅調に推移した場合は150円台が定着する可能性がある。
OECDの予想を元に、2025年のGDP成長率を2024年とのギャップを加味して比較してみると以下のようになる。
- 日本:+1.8%
- 米国:−0.4%
- 中国:−0.2%
- ユーロ:+0.5%
- 英国:+0.6%
- インド:+0.1%
- アルゼンチン:+7.4%
- サウジアラビア:+2.6%
- ロシア:−2.6%
先進国では日本が、新興国ではアルゼンチンが来年期待できそうである。
個別銘柄については過去の記事でも紹介しているが、日本経済の堅調さを背景に小売り、空運、銀行等の内需株は堅調に推移すると予想する。中国経済への期待値が下がっている分、景気の底入れ感が出た場合は関連企業にも恩恵がある。その他、訪日外国人数の伸びは続きそうなので、インバウンド関連企業は変わらず好調な業績が見込めそうである。
これらの企業の中で未だ燻っている企業や業績の成長が期待できる銘柄には投資妙味がありそうだ。