【ドル円・日本株】2026年日銀による利上げ予想と家計、株価への影響について
2月2日に日銀は「主な意見」を公表した。今年初めての主な意見となり、今後の日銀利上げ予想を立てる上で重要である。
今回は主な意見を確認し、2026年の利上げ予想を考えていきたい。
【主な意見の内容】
今回の主な意見は以前と比べても「利上げ」への言及が何度もなされており、日銀による利上げへの強い意欲を滲ませている。
- 実質金利:極めて低い水準であり、引き続き政策金利を引き上げることが適切としている。
- 金融環境、為替:相当に緩和的であり、金融緩和の度合いの調整(利上げ)を適切なタイミングで行う必要がある。円安に対する処方箋は利上げである。
- ビハインドザカーブ:顕著とまではいかないが、注意深く政策運営を行う必要あり。
- 利上げのペース:数ヶ月に一度行うべき。
円安に何度も言及されていたり、ビハインドザカーブに対する警戒感も示している。
利上げペースは数ヶ月に一度としており、おそらく年内に2〜3回の利上げ実施の意思を日銀は持っている。
中立金利は以前は1%の数字が示されているが現在は具体的な数字は消えている。現在はもっと高い想定になっている可能性が高い。最低でも1回の利上げは実施されるものと考えるべきである。
【家計への影響】
日本のGDPの6割程度は個人消費である。従って利上げによる家計への影響は注意を要する。
総務省統計局によると2024年のデータでは、二人以上の世帯の保有金融資産額と負債額の平均値はそれぞれ、1984万円と663万円である。また、負債なしの世帯は61.2%である。つまり、日本全体で考えれば純金融資産はプラスなので、マイナス金利状態の日本での利上げによる影響は利息収入分プラスである。もちろん、利上げは株価への影響が大きいのでその辺りを考慮する必要はあるが、実質金利が以前大きなマイナスなので年2回程度の利上げはそこまで大きな影響を与えないことが考えられる。
一方で注意しなければならないので現役世代への影響である。二人以上の勤労者世帯で負債なしの世帯は44.9%にとどまる。そして、その世帯の負債額中央値は1698万であり、増加傾向である。一方で金融資産の中央値は947万円にとどまり、債務超過状態である。
負債のほとんどが住宅ローンなので、金利が上がったからと言って直ちに破綻するようなことは考えにくいが、日本の住宅ローンの79%が変動金利型であり、将来的な毎月の支払額及び支払い総額は利上げによって確実に増加するので家計の余力は今後あまり期待できないと考えるべきだろう。実質賃金がマイナスの状況では尚更である。
【まとめ 〜急激な利上げは考えにくい環境〜】
日銀の意思も重要だが、日本の環境は急激な利上げを実施しにくい環境になりつつある。高市政権の意向もあり、急激な利上げは考えにくい。考えられる理由は以下の通りである。
- 株価への影響:一般的に利上げは株式市場にマイナスである。金融広報中央委員会の調査(2025年)では昨今の株高の影響もあってか有価証券の保有額が預貯金を超えている。また、岸田政権から続く家計への金融商品への誘導から、家計は株式等のリスク資産への投資に以前より積極的になっている。株式市場に大きなマイナスになる行動は取りにくいだろう。
- CPIの推移:日本のCPIは直近の1月が1.5%であり、下落傾向である。政府と日銀の物価目標2%を2ヶ月連続で下回っており、物価面からの利上げの正当性は薄れつつある。依然マイナス金利であることは変わりないが、その幅は縮小しつつある。春以降の賃上げで実質賃金がプラス圏になる可能性がある。
- 財政について:高市政権は衆院選で大勝した背景もあり責任ある積極財政を進める意向であり、その実現可能性は高まっている。多くの分野に投資がなされることが期待される。また、CPIが落ち着いており、春闘による賃上げで実質賃金がプラスになった場合、個人消費が拡大する可能性がある。これらは基本的に税収にプラスである。財政懸念が後退した場合、円安も落ち着く可能性があるだろう。
- 家計への影響:前述の通り家計の多くは債務超過であり、利上げによる悪影響を受けやすい。高市政権は衆院選で大勝したが、参院では少数与党である。2年後に参院選を控えており、来年には自民党総裁選がある。ある程度世論に配慮した金融政策が採られるだろう。
- 為替について:衆院選前にドル円は160円に近づきつつあったが、選挙後は落ち着いている。日米金利差、マイナス金利は縮小しつつあり、これ以上の円安は考えにくい。
色んな状況を考慮すると、おそらく春の賃上げの状況を見届けて、夏前に1回程度の利上げは十分考えられる。ただし、それすら国際的な経済状況、為替状況に左右されるのではないか。重要なのはCPIが下がり始めており、このまま行けば日本のインフレは沈静化するので利上げする必要が無いことである。
また、世論や家計に配慮して、日経平均株価や住宅ローンにマイナスになる利上げは基本的に避けたいはずである。
つまり、今年の利上げは0〜1回程度であり、多くて2回程度にとどまってもおかしくは無いだろう。(もちろん、高市政権による財政政策に大きく影響を受けることになる)
利上げが思ったほど進まないのであれば、株式にはプラスである。日本株は、高市政権が示している重点17分野を中心に幅広いセクターにチャンスがあり、堅調に上昇する可能性が高いだろう。
為替や経済の状況は国際情勢にも大いに影響を受ける。今後も各種報道に注意していきたい。
