経済金融

【ドル円・日本株】日米政治イベントと今後のドル円の行方について

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今年7月に161円まで上昇したドル円はその後下落し、9月中旬には140円台まで急速に円高が進んだが、このところ再度円安に転じて現在152円台まで上昇している。
今後のドル円相場と株式市場の見通しを考えていきたい。

【中長期的には円高トレンドが続く可能性が高い】

ドル円は短期的には日米金利差に沿った動きを示すことが多く、ここ最近ではほとんどそうである。各国の金利水準はファンダメンタルズとそれに伴う政策金利によって決定付けられる。

米国経済は順調さを維持しており、アトランタ連銀が推計するGDPナウは直近だと3.3%である。このままだとソフトランディングの可能性が高い。CPIやPCEは下落基調なので、インフレ再燃の兆候が見られるかが今後の大きなポイントである。経済指標は概ね堅調である。

日本は8月に実質賃金が再びマイナスに転じ、政府による補助金再開で9月以降再びプラスに転じる可能性がある。今年の9月と10月にOECDとIMFが経済成長予測を発表しているが、いずれも日本の経済成長率は来年が今年を上回る予測である(今年が低すぎるとも言えるが、、。)。また、CPIは継続的に2%を超える状況が続いている。

FRBは利下げ、日銀は利上げに舵を切っている。その速度は日米両国の経済状況を考えれば、それぞれ当初の市場見込みよりも緩慢なものになるだろう。一方で、基本的には米国は利下げ、日本は利上げでありそれらを覆す程の状況では無いだろう。

FRB利下げ幅の市場織り込みは、大幅に巻き戻されつつあり、FRBの想定する3.4%(2025年末)に近づいた。また、テクニカル的には52週移動平均線を上回っているが、日米10年債利回り差は過去同程度のドル円水準時よりも縮小している。

また、中長期的にはソロスチャートで考えると現在の為替水準は大幅に円安である。

以上のことから、おそらく穏やかながらも徐々に円高方向に進んでいくのではないか。
以前の想定通り1年以上かけて130円前後の水準まで進んでもおかしくはないだろう。

【日米の政治イベントの影響】

日本の衆院選挙の結果、与党過半数割れとなり、野党が躍進し、特に立憲民主党、国民民主党が大幅に議席を伸ばした。

まだ新しい連立政権の枠組みは明確になっていないが、自民党が比較第一党のままであったこともあり、今のところ政権交代の可能性は低いようだ。

与党が大幅に敗北したが、株式市場は2日続けて上昇しており、ドル円相場も大きな波乱はなかった。おそらく、与党が敗北したものの政権交代の可能性が低いこと、部分連合を組む可能性があるのが国民民主党(現時点で自民党が打診との報道あり)であることから過度の不安感が市場から解消されたためと考えられる。

米国大統領選挙はハリス氏とトランプ氏が大接戦なので、全く結果は読めない状況である。ただ、各種報道やリアルクリアポリティクスによると、接戦州では僅差でトランプ氏が優勢であり、ややトランプ氏当選の可能性が高そうである。

トランプ氏は過去の発言からドル安を志向しているように思えるが、一方で政策的にはドル高を誘発するとの意見もあり、トランプ氏が大統領に当選した場合の為替は読みにくい。現に前回トランプ氏が当選した際も、株式市場も為替も事前予想と異なる動きとなったことに注意が必要だ。

トランプ氏の経済政策はハリス氏との違いとして、

  • 法人減税の拡大・維持
  • 中国等への関税
  • 化石燃料の優遇

が大きなところだろう。法人減税は実際には下げ幅はさほど無いと考えられるので、以前ほどの影響は市場に与えないかもしれないが、減税の廃止や増税が無くなるだけでも市場には恩恵があるだろう。減税が現状維持程度と考えれば、物価や為替には大きな影響は無いかもしれない。(株価にはプラスと思われる)

関税については、インフレになるとの言説もあるが、実際には現在もメキシコ等の第3国を経由して輸入することで大幅に回避されているため、実効性の有無が焦点になるだろう。

化石燃料の優遇については、規制緩和含め様々実施される可能性はある。エネルギーコストが下がることになれば、ディスインフレ方向に動くだろう。

いずれにせよ、米国大統領選については実際に通過してみないと不明なところが多い。また、同日にある上下院選挙の結果も重要である。米国は議会の力が非常に強い。現在のところ、トリプルブルーあるいはトリプルレッドの可能性は低いと思われるが、もしそれらの結果となった場合はより極端に振れるので注意が必要だろう。

【まとめ】

米国経済が堅調であるため、円高トレンドだとしても穏やかなペースで進みそうである。また、このままCPIと金利が下がり続け、ソフトランディングを成功した場合は米国株価は上昇することだろう。

日本株にとっては急激な円高が避けられる(あるいは穏やかな円安が続く)ことと、米国市場が好調なことは共にプラスである。ただし、以前ほど円安に振れる環境下では無いため、日経平均全体では堅調推移するものの、上値の重い展開が続くのではないだろうか。

政治イベントについて、日本については安定性が重要で、米国については大統領と上下院が同じ政党になるかが鍵になりそうだ。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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