経済金融

【ドル円・日本株】ジャクソンホール会議と円高について

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8月23日のジャクソンホール会議でパウエル議長は9月FOMCでの利下げと政策転換を示唆した。これにより、為替市場は円高方向に進み、ドル円146.87円で取引を終えている。

今回はこのまま円高方向に市場が反応した場合と、その場合の銘柄選択を考えていきたい。

【ジャクソンホール会議でのパウエル議長講演】

ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演内容を振り返ってみる。

  • 労働市場について:需要と供給の双方が減少しており、奇妙な均衡が生じている。雇用の下振れリスクを認識。
  • 物価上昇リスクについて:関税による影響によりインフレを誘発するリスクがあるが、インフレへの影響は徐々に減少していく。
  • 利下げについて:現在の金融引き締め的な政策から、政策スタンスの調整が正当化される可能性がある。

要約すると「労働市場は均衡しているものの、需要が減少していることは事実であり、関税により物価上昇圧力も一時的で、利下げを正当化することができる」という内容である。

9月のFRBによる利下げを織り込むことができ、今後の雇用統計や物価統計で著しく強い結果が出ない限り、その後も利下げする可能性が高まったと言えるだろう。

どの程度まで利下げが行われるかだが、ベッセント氏が言及した1.5%程度(合計6回分)の利下げが一つの目処として意識することができる。

【植田総裁の講演】

ジャクソンホール会議では、日銀の植田総裁も講演している。発言内容を確認しておこう。

今後の賃金上昇について:「先行きを展望すると、大きな負の需要ショックが生じない限り、労働市場は引き締まった状況が続き、賃金には上昇圧力がかかり続けると見込まれる。」

既にトランプ関税による影響は織り込んでいる状況である。その為、上記の植田総裁の認識は、日銀による利上げ再開を後押しすることになる。

尚、日本の7月CPIは3.1%と高止まりが続いている。以前の記事でも言及しているが、日銀の利上げはもはや時間の問題であり、焦点はタイミングがいつかである。政治的な障壁が無ければ、早ければ10月頃に利上げが行われてもおかしくは無いだろう。

利上げの目処は日銀が中立金利で度々言及していた、1%程度(残り2回分の利上げ)が意識されるだろう。

【為替は円高方向に進む可能性が高い】

上記のシナリオだと日米金利差は縮小に向かうことになる。
どの程度までドル円が下落するかは不透明だが、歴史的に考えれば130円台は十分考えられる水準である。

日米の経済指標やインフレ、雇用統計等によって金融政策や金利見通しは変化するため、一概には言えないが円高方向に傾く可能性は高まっている。

【まとめ 〜円高メリット株に恩恵か〜】

ジャクソンホール会議の株式市場は、米国は大幅高、日本の先物も上昇、ドル円は下落である。特に米国は経済指標が不況を示しておらず、米国企業の決算内容も悪くなく、EPSは全体的に堅調である。

米国経済及び米国企業の業績が堅調な中での利下げになるので、不況時の利下げと異なり、米国市場ではリスクオンの動きが高まる可能性がある。当然、日本市場にもその影響は波及するので、日本株も上昇する可能性があるだろう。

ただし、円高と関税の影響を受けやすい輸出企業にとってはややマイナスの環境が続くことになる。インバウンド関連も円高による消費額減少を考慮する必要がある。

内需株が選好される場面が続くことになるだろう。銘柄選択は慎重に検討すべきである。いくつか考えてみる。

小売:円高で恩恵を受けやすいか、為替によるマイナスを受けにくい業界で有利である。円高により原材料費を引き下げることが可能で円高局面では競争力が増す。また、日本人の購買力上昇の恩恵を受けやすい。代表的な銘柄にニトリが挙げられる。ニトリは昨年の円高場面でも大きく株価上昇しており、現在の株価水準は歴史的に見ても割安である。

銀行:日銀による利上げ再開が意識されており、株価を下支えする場面が続く可能性が高い。

エネルギー:原油や天然ガス等関連銘柄。当然、円高によってコストを減少させることができ、やや有利な業界となる。

空運:日本人による海外旅行や出張が増加し、機材コスト等を減少させる等恩恵がある。ドル安や米景気向上による原油高が若干考えられるので、コスト面ではやや有利といったところだろう。

いかがだろうか。今後も為替動向等を注視していくことが必要となってくるだろう。

※追記
ジャクソンホール会議でのパウエル議長講演後、複数のFRB理事達が9月の利下げを牽制する発言をしている。
既に9月の利下げは市場で8割以上織り込まれており、万が一利下げが実施されなければサプライズなので注意を要する。
パウエル議長の講演内容から、9月に発表される8月雇用統計が7月雇用統計の内容(雇用の減速)を裏付けるものであれば、利下げはほぼ実施されると見て良いだろう。その意味で、次回雇用統計が非常に重要になってくる。
当然、8月雇用統計が労働市場の更なる悪化を示唆するものであれば、連続利下げや大幅利下げもかなり意識される展開が予想される。

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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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