【日本経済】少子化という日本にとっての最大の政策課題について
いよいよ2月8日に衆院選挙が実施される。今のところ、各種世論調査や選挙情勢調査では高市首相率いる自民党が圧勝する公算である。単独過半数は確実な情勢となっており市場の織り込みも進んでいることだろう。
ただし、今回の選挙は政権の枠組みが大幅に変わっており、情勢調査通りの結果となるかは開票箱が開くまでは分からないので、最後まで眼が離せない状況である。
今回の選挙結果で日本の株式市場は大きく変動する可能性が高く、日本株投資家にとって大きなイベントである。
与党支持者も野党支持者も、民意を示すためにも選挙に参加するべきである。普段政治に興味が無い方も、是非今からでもインターネット等で各党の政策をお調べ頂き投票することをお勧めする。選挙は民主主義を維持するために必要な、大切なコストである。
さて、今回はいつもとやや毛色が異なるが選挙を控えている状況もあり、日本の政策課題について考えていきたい。日本の課題を考える上で少子化は避けられないので、今回は少子化問題に考えてみる。
【突き詰めると日本の課題は少子化に行き着く】
昨今、日本の有権者の保守化が進んでいると言われているが、よく懸念されているのが外国人問題である。既に欧米では移民受け入れで治安や文化等で大問題が発生し、結果的に英国のEU離脱や第2次トランプ政権発足に繋がった。
欧州の移民問題については、EU離脱当時の英国民の心情や欧州の状況を詳述したダグラス・マレー氏の「西洋の自死」が非常に参考になるので、ご一読をお勧めする。
日本経済の問題点として、労働力不足、産業の空洞化、高齢化による社会保障費の高騰、競争力の低下等々挙げられるが、中長期的には根本を辿ると少子化を解決しない限り本質的な問題解決は難しい。いかに日本企業のグローバル化が進んでいても、競争力や科学技術を支えるのは日本の人材、内需と日本政府の財政であり、それらを支えるのは日本国民だからである。
出生率が改善されれば、直ぐに問題解決されなくても将来的な見通しが明るくなり、企業の投資や外国人問題は解消に向かうことだろう。少なくとも文明の危機を感じたり、移民問題でジレンマが生じたり苦しむ必要は無くなるだろう。そうなれば、保守派は喜ぶだろうし、リベラル派も日本の保守化が穏やかになるという意味で政治的に意味のあることである。やや乱暴かもしれないが、少子化改善は保守だろうとリベラルだろうと、解決すべき政治的一致点のある問題である。
出生率の低下は経済的かつ社会的な様々な背景が複合的に関係しているので、社会的な問題を先に解決することで出生率を改善する手立てを行うべきである。だが、今まで様々な手を講じていても改善に至らないので、もう少し大胆かつ直接的な解決策を考えるべきである。
【出生率の現状】
主要国の合計特殊出生率を確認しておこう。
- フランス:1.66
- 米国:1.61
- イギリス:1.56
- ドイツ:1.39
- カナダ:1.26
- イタリア:1.2
- 日本:1.2
- インド:1.975
- 中国:0.999
- 韓国:0.72
- イスラエル:2.85 (OECDで唯一2.0を超える国)
- 沖縄県:1.54 (日本で1位)
ちなみに、人口の維持には2.07以上が必要と言われている。出生率の低下は国際的な問題であり先進国や経済成長した国は軒並み低下傾向である。
その中でも目を引くのがイスラエルである。先進国の中で異常な数字である。また、沖縄県も日本の平均値を大きく上回る為注目に値する。欧米が東アジア地域よりも高めなのは、移民の受け入れ等も影響しているだろう。
【イスラエルの事例】
調べてみると、イスラエルの出生率が高い理由は以下の通りである。
- 宗教的、伝統的理由:ユダヤ教超正統派では子供をたくさん持つことが正しいとされている。
- 高度な生殖医療、不妊治療が無料:18歳〜45歳までの女性は子供二人まで無料で不妊治療(体外受精)が受けられる。また、生殖医療のレベルが世界トップレベル。
- 社会的な要因:子育てをサポートするボランティア(子育て経験者)やコミュニティの存在、子供に対する寛容さが高い。親族の支援も大きい。
最も大きいのは社会的な寛容さや子育ての社会的支援だろう。伝統的に子供を持つことが正義とされている点も非常に大きい。
【沖縄の事例】
沖縄の出生率が高い理由は以下の通りである。
- ゆいまーるの精神:伝統的な助け合いの精神。
- 自治体レベルの出産祝金の存在:特に多子世帯に手厚い。
- 子育て、出産に対して非常に寛容な社会
イスラエルと共通するのは子育てや出産に対して寛容であり、出産後も社会の理解度が高く、支援する文化が構築されている点である。
【まとめ 〜文化を変えるには極端な政策が必要〜】
イスラエルのように子供を持つことが正義であり、子育てを助け合うのが当然とする価値観をいきなり作り上げるのは困難である。これは一国民や一企業が頑張って変えられるレベルの話では無いだろう。
出来るとしたら国であり、経済や労働者、移民問題の根本原因が少子化にあることを表明し、予算をかき集め強力に推進するべきである。高市政権は重点17分野に今後集中的に投資することを表明しているが、18分野目に少子化問題を据えて同レベル以上に推進すべきである。
具体的には、
- 不妊治療及び子育て費用(保育園料、給食費等)の充実と完全無償化、生殖医療への投資
- 国による出産祝金を新設
- 従業員の出生率や育児復帰率に対して企業に法人税減税を通じて大きなインセンティブを付与する
- 税制優遇:子供の数に応じて所得税負担を劇的に軽減(フランス方式)
- 商業施設等で子育て世代の優先権を創出、徹底
- 児童手当を増額(少なくとも倍増以上)
- 都市開発において、自治体の高齢者施設数と同等の育児施設の建設を義務付けし財政的支援を行う
- 子供がいる多世帯が同居するための住居費用、引越し費用等を支援する為の手当を新設し支給する(数百万単位)
- 親族が子育て世帯の近くに移り住むための「近居手当」を新設し支給する
いかがだろうか。はっきり言って財源の不安が直ちに生じ、大きなハレーションを生み出しそうな極端な案である。実現には法整備等、様々な大きな障壁が存在することだろう。
しかし、これらの政策を実施し推進した場合、確実に社会の価値観は変化していくことだろう。多くの国民が「そこまでやるのか、、、」と感じるのではないか。重要なのは、変革の為の危機感の共有である。そのくらいの覚悟を政治家には持ってほしいものである。
実際に効果が出て、子供の数が増えてくれば将来的な消費者、納税者が増えることに繋がるので企業の投資は増え、全世代が大きな利益を得ることができる。個人的には消費減税よりも価値高いもののように思えるのである。(消費減税も重要だとは思う)
今回の衆院選でここまで大きな旗を立てている政党は存在しない。そもそも少子化は争点になっていない。この案件で極端な主張をする政党が存在しない為である。
目の前の生活もとても大切だが、中長期的な大きな問題に対しもっと議論があっても良いと思うのである。
皆さんはいかがお考えだろうか。
