【ドル円・日本株】参院選後の株価や為替の動きについて
7月20日に投開票された参院選の結果は、与党過半数割れとなった。
与党過半数割れについては事前に報道されていたので驚きは無いが、石破首相が続投の意思を表明していることには少々驚きである。
今後政局に発展する等、様々な報道がされているが、今回の参院選の結果を踏まえた今後の株価について考えていきたい。
【石破首相続投の可能性について】
既に石破首相は続投の意思を記者会見で表明している。辞任しない理由はよく分からない。
衆院選に続き、参院選挙でも敗北し、両院で与党は過半数割れを起こしている状況である。はっきりと選挙を通じて民意が示されているにも関わらず、その民意が反映されない状況は異常である。選挙は民主主義の根幹を成す部分なので、首相はその重みを厳粛に受け止めるべきだし、国会と議員がその方向に今後動かないなのだとしたら由々しき事態ではないか。
また、議席が過半数割れの状態で与党内でも求心力を失った場合、今後の石破政権はエネルギーの大半を権力維持に使うことになる。その状態で国益に向けた動きが出来るのか甚だ疑問である。石破首相と石破政権幹部は仮に自分達以外が政権を担っていた場合、今回の参院選で別の選挙結果が出ていた可能性も謙虚に考えるべきだろう。
石破政権の存続した場合も含め、今後の株価等の市場の動きを考えていく必要がある。
【日米関税交渉とドル円、株価の方向性について】
参院選の開票後、ドル円は148円を割り込みやや円高方向に進んでいる。それでも参院選公示日の7月3日の水準の144円台より円安である。
与党は過半数を割り込んだが、その差は3議席に過ぎず、元々過半数割れが織り込まれていたこともあり、円の買い戻しが進んだ可能性が高い。石破政権は比較的、財政規律を重視している。
ただし、大幅に円高へ進み続けるかは不透明である。減税を主張する野党が伸長していることや、日米関税交渉の妥結見通しが立たない為である。特に日米関税交渉が妥結に至るまでは日銀も利上げを凍結する構えであり、円高に振れにくい下地が存在する。
ベッセント財務長官は以前関税交渉の障壁の一つに参院選を挙げていた。障壁の一つが取り除かれている状況なので、今後石破政権が米国側に譲歩し早期妥結する可能性はある。どの程度譲歩するかにもよるが、早期妥結した場合は日本経済や企業業績への懸念が後退し、穏やかな円高、やや株高になる可能性があるだろう。
元々トランプ関税は日本のGDPへ0.3〜0.5%程度押し下げの影響があるものの、今のところはマイナス成長を引き起こすほどの規模では無い。従って、妥結内容がある程度企業業績の悪化を緩和できるものであれば、程度の差はあるにせよ穏やかな円高とやや株高方向に進むことだろう。ただし、仮に企業業績に大幅な影響を与える水準の関税が残った状態で米国の貿易赤字を解消する妥結内容だった場合は、株安と円安が同時に進行する可能性も否めない。
【まとめ 〜個別銘柄の選別に注意を要する展開〜】
政治状況は今後どうなるか全く見通せないが石破政権が存続してもしなくても、与野党ともに決定的な力が無く、増税や減税等大幅な方針転換は考えにくい。ある意味政治の影響は無視できる状況が続くことになる。仮に石破政権が退陣し、次の首相候補に高市氏や特定の野党党首等を市場が意識した場合は昨年秋同様に株高、円安が進行することだろう。
日米関税交渉が妥結した場合は、トランプ関税前のトレンドを意識しつつも米国側の経済金融状況に左右されるだろう。
7月21日発表された自動車大手のステラティスの上期決算は、約4000億円の赤字となった。今後発表される自動車各社等の輸出関連銘柄での決算では、関税の影響を本格的に織り込んでくる可能性があり注意を要する。一方で、それは逆張りのチャンスとも言えるかもしれない。
これから決算シーズンが本格化するが、その内容を吟味し個別銘柄の選別に注意を要する展開が続くことだろう。