経済金融

【ドル円・日本株】米国雇用統計と利下げの可能性について

yuta8068@gmail.com

7月3日に米国雇用統計が発表される。
FRBは昨年冬に利下げを実施した後に現在まで停止しているが、7月雇用統計の結果次第ではFRBによる利下げ再開が市場で意識されることだろう。米国は以前高金利水準を維持しており、他の主要国に比べて利下げ幅が大きく残されている。

今回は7月雇用統計発表後のドル円と利下げの想定を考えていきたい。

【7月米国雇用統計の市場予想】

予め市場予想を確認しておこう。

  • 非農業部門雇用者数(前月比):11.4万人
  • 失業率:4.3%

特に重要になってくるのが失業率である。
昨年8月の米国雇用統計では失業率が4.3%まで急上昇して景気後退が突然意識され、日銀による利上げと時期が重なり日本の市場は混乱に陥った。
今回は事前に失業率の悪化が織り込まれているので、予想通りだとしても大きな混乱は起きないだろう。仮に4.3%を超えてくると景気後退が意識される可能性はある。

【利上げは当分様子見か】

FRBのパウエル議長は7月1日に今後数ヶ月で関税による影響が生じると発言した。また、FRB理事の多くが7月の利下げに否定的である。

また、5月のPCE価格指数も市場予想を上回っており、4月分は上昇修正されている。その為、今後FRBが関税による物価上昇を懸念しているのであれば当分様子見の公算が大きい。

一方でPCE統計では、実質消費支出が1月以来の大幅な減少となった。また、個人消費の減少に伴い、米国の第一四半期GDP成長率は年率換算で0.5%減少(0.2%減少から改定)となっている。関税の影響なのか、高金利によるものか、米国の個人消費は徐々に勢いを失っている。

総合的に考えると9月のFOMCで利下げが妥当となる。

【まとめ 〜穏やかな円高方向が続く可能性〜】

あくまで今後の雇用統計、CPI次第ではあるが穏やかな円高が続く可能性が高いだろう。理由はいくつか考えられるが、以下まとめてみる。

  • 米国では高金利や関税の影響で徐々に個人消費が減少しており、今後利下げが織り込まれいく可能性が高い。
  • 日銀は日米関税交渉が終了するまでは追加利上げを凍結する可能性が高い。ただし、日本のCPIは3%以上と高止まりしているので、交渉終結後に利上げが再開される可能性がある。
  • 日米両政府にとって極端な円安よりも、穏やかな円高の方が都合が良い。日本政府にとっては極端な円高は困るが、為替がやや円高に傾くのであれば、少なくとも米国側からの指摘事項が一つ減ることになる。

7月9日以降に米国が日本に対して高関税を課したり、米国の経済・雇用、物価指標が予想外に強い場合は再び円安に振れる可能性がある。ただし、ベースとなる大きな流れは変わらないのではと考えるが、どうなるだろうか。

※7月3日追記
米国雇用統計は予想外に強い内容となった。
特に失業率が4.1%に改善したことはサプライズである。


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青髭
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会社員、個人投資家
日本個別株に投資を続ける個人投資家です。本業が会社員のため限られた時間でしっかり成績を残し、本業に支障がきたさない事を念頭に投資を続けています。 経済、金融、投資に関する適切な情報発信を心掛けていきます。
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